郵便局は信用できない! 日本郵政グループが金融ビジネスの収益で店舗網を維持する歪な構図に
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
さて今週の第1位は、ポストの巻頭特集「郵便局は信用しない」だ。
「貯蓄のために長期の養老保険に加入する。“お金は郵便局に任せて間違いない”と思われてきた。今回、明らかになった不正販売問題は、いわばその信頼を悪用したものといわれても仕方ない。
その背景には、日本郵政グループの歪な収益構造がある」そうポストは指摘する。楽天証券経済研究所客員研究員の経済評論家・山崎元がこう解説する。
「郵便物の需要が年々減るなかで、全国津々浦々の郵便網を維持しなくてはならない『日本郵便』の経営は厳しい。郵便局員が『かんぽ生命』や『ゆうちょ銀行』の商品を窓口で販売して手数料を稼ぎ、金融ビジネスの収益で店舗網を維持する構図になっている」
親身になって話かけてくる局員から勧誘を受けたのは69歳の女性だったという。保険評論家の山野井良民が、「70歳以上になると、販売時に子など親族の同伴が必要となるので、その直前を狙われたのではないでしょうか。女性が加入したプランは、保険料を80歳まで毎月約1万2000円払うというもの。10年かけて約150万円を払わせ、死亡保障は100万円にしかならない契約でした。さらに酷いのは、3年後により高額な保険料のプランに乗り換えさせようとしたことです」
局員は「今は葬式代で500万円は必要」といい出し、新たに死亡保障500万円、入院給付金日額7500円のプランを提案してきたというのだ。
「保険料は毎月5万円近い額になるプランで、年金額を上回っていた。この乗り換えの勧誘を受けた時期に相談があったので、“同額を貯金するべき”とアドバイスして止めました」(山野井)
具体的に問題があったと指摘されている手口は2つある。
「3ヶ月以内の新契約だと、『乗り換え』とみなされて局員の手当が半額になってしまうため、あえて空白期間を設けるわけです。無保険の期間中に亡くなったり事故に遭ったりした顧客は、保障を受けられない。もう一つは乗り換えの際に従来の保険と新規の保険の重複期間があるパターン。こちらの場合、顧客は保険料を二重に払わされていました」(山野井)
また山野井は、「かんぽ生命はもともと、加入者の3~4割が高齢者で、不適切な乗り換え募集が全国的に行われてしまったとみられています」という。
また山野井は、かんぽ生命の保険証書を見て、「契約年月日」と「加入年齢」を確認するべきだという。
「『過去4年以内』に加入したものであれば、郵便局の体質が“業績至上主義”に変わった後なので、不適切な乗り換えをさせられていたり、年金生活者なのに高額な保険料で新規加入させられたり、高額な死亡保障がつけられている可能性があります。
また、両親の保険証書を見て、『70歳になる少し前』の加入であれば、契約時に子の同伴が不要なタイミングを狙われたリスクを考える必要がある。疑わしい点があれば、すぐに郵便局に申し出るべき」そうしたルールを逸脱した投信販売が横行したのはなぜか。ここにも、日本郵政グループの収益構造の問題があると考えられるとポストはいう。
「約180兆円という巨額の預金残高を誇るゆうちょ銀行だが、国債などで安定運用していくという従来のやり方が、曲がり角に差し掛かっている。マイナス金利政策のもと、国債での運用だけでは利益が出ない。
そこで、“新たな収益の柱”として成長しているのが『投資信託販売』だった。昨年度の年間販売額は約8900億円と、前年度から2割も増えたが、そこがルール違反の温床となった。(中略)
そうしたなかで、預金者はどう行動するのが正しいのか。山崎(元)氏が語る。
『ゆうちょ銀行の投資信託商品ラインアップを改めて確認しましたが、購入時手数料や信託報酬の数字を見て、投資の専門家として“買ってもいい”といえるものはほとんどありませんでした。今年4月から、ゆうちょ銀行の貯金限度額が2600万円に倍増されました。利用者の利便性を高める一方で、郵便局員は顧客の預金残高を把握した上で金融商品の営業をかけられます。結果、資金的余裕がある高齢者が狙われ、手数料の高い投資信託を買わされないかという懸念が新たに生じています』
そのうえ、ゆうちょ銀行の投信販売について十分な検証がなされているのか疑問がある。かんぽ生命による保険の不適切販売問題は、第三者による特別調査委員会が設置されたが、調査対象にゆうちょ銀行は含まれていない。その理由を改めて日本郵政に問うたが、『原因の洗い出しを終え、再発防止策の実施に向けた目途が立っている』とするのみだった」(ポスト)
さらに、郵便の土曜配達廃止は郵便局の全国サービスが消える前触れだというのである。
「郵便局の信用の基礎は、全国津々浦々に張り巡らされた約2万4000の店舗網で、どこに住んでいても貯金(決済)や生命保険に加入でき、離島や山奥でも郵便が配達されるというユニバーサルサービスにある。(中略)
日本郵便は正社員だけで実に19万人。グループの9割を占める巨大組織だが、連結経常利益の8割はかんぽ生命とゆうちょ銀行が稼いでおり、郵便局からの貢献はわずか2割に過ぎない。その2割でさえ、金融2社からの手数料で捻出されている」(同)
だが、総務省が8月6日、土曜日配達の廃止を容認する方針を打ち出した。経済評論家の加谷珪一がこう解説する。
「表面的には郵便局員の働き方改革ですが、内実はコスト削減です。インターネットの普及で郵便数は急速に減少、国内で172億通(17年度)とピーク時(01年度)から35%も落ちた。その結果、毎年赤字幅が200億円規模で拡大している。土曜配達を取りやめることで、出勤する局員の大半を平日の業務に回せると見られています。また預かり日の翌日配達も廃止して深夜勤務の人件費を抑制できる」
その背景には、現在政府が保有する日本郵政の株式(57%)を売却して、予算の財源にしたい財務省の存在があるとポストは見る。
「利益が落ちて株価が下がると、売却で得られる予算が減るので、絶対に避けなくてはいけない。今回の不正を受けて、日本郵便はノルマを取りやめてしまったことで、収益を挙げる力はさらに下がる。株価維持のためにももっとコストを減らす必要が出てくるのです。このままでは、深い議論もないまま押し流されるように郵便サービスの切り捨てに進まざるを得ない」(加谷)
郵政民営化直後に起きた「かんぽの宿」問題などを受けて総務省が設置した「日本郵政ガバナンス検証委員会」の委員長を務めた弁護士の郷原信郎はこういう。
「日本郵政グループでは、政権が変わるたびに社長の首がすげ替えられるなど、経営が政治的な影響を強く受けてきた。そのため、経営陣が、短期的に実績を上げようとし、ユニバーサルサービスの制約を受ける現場の実態と乖離したやり方のために不祥事が発生するというのが、これまで繰り返されてきた」
郵政民営化を振りかざし、解散・総選挙までしたのはどこの誰だったか。いわんこっちゃない。(文中敬称略)
【巻末付録】
ポストから。いきなりヘア・ヌード「なをん/神戸の女の話・美乃」。迫力はあるけど、電車の中で開いたら大変だろうな。
「神の乳を持つ女優たち厳選8人-究極の美バスト女神たちが降臨! AV女優・水卜さくら、筧ジュン、河合あすな、乃木蛍」。袋とじは「2019真夏のSEXYホラー映画祭-誌上先行公開」「三上悠亜、プリンセスの誘惑-絶対女王の最新ヘアヌード」「杉本有美、モノクロームの色香-2週間限定で開催された写真展の貴重写真」。このところモノクロの懐かしい映画を観ている。いいねモノクロは。
現代にいこう。「<科学的に正しいSEX>視線とセックス-その心理的効能について」
「女優・松本まりか、ソフトバンクCMで話題の美女」「小田飛鳥、未公開ヘアヌード-9頭身Iカップ、再び」
袋とじは「オリンピック女子新体操、和泉里沙-日本代表美女が全裸で舞う!」。さすがに素晴らしい肢体だ。ということで今週は、いい写真が両誌ともに多かったので引き分けとした。
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