郵便局は信用できない! 日本郵政グループが金融ビジネスの収益で店舗網を維持する歪な構図に
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
太平洋を望むNHKの朝の連ドラ『あまちゃん』の舞台になった岩手県洋野町はウニが特産だが、自殺率が高い町でもあった。
08年、人口10万人あたりの自殺者数は全国平均(24人)を大幅に上回る64.5人にもなっていた。
保健師の大光テイ子(67)は町役場の健康増進課長を務め、自殺者をさらに増やしかねない町の異変を感じ取っていたという。
がん検診の受診率を上げようと調査を始めると、長い間家から出られない状態にある人が多くいるという報告が相次いだというのだ。
12年に大光は40年近く勤めた町役場を定年退職し、町が運営する地域包括支援センターに再就職する。大光は要介護者に対して適切なケアプランを作ることをメイン業務とされたが、暇を見つけてはひきこもり者の家を家庭訪問するようになった。
「現職のときに残した宿題。これを放置するわけにはいきませんでしたから」(大光)
彼女はひきこもり者がいる家庭にグイグイ首を突っ込む。
ある日、包括支援センターに「介護保険サービスを使ったほうがいい人がいるので、話をしてほしい」と地元の病院から電話が入った。
それは70代の夫婦が住む世帯だった。夫には軽度の認知症の症状が感じ取られ、重い病気を抱えた妻が寝転んでいた。
夫は奥の襖を指さして、「息子が20年、あの部屋から出てこない」と囁いた。長男は40歳を超えていた。
大光は、デイケアサービスや生活支援などの介護サービスを入れ、レンタルの電動ベッドを導入してバリアフリー化を進め、床の修繕などには町の補助事業を使った。
「住環境が整い、家の空気が入れ替わったら、20年部屋に閉じこもった息子さんとも少しずつ、会話の機会を持てるようになりました」
その息子には精神疾患の疑いがあると感じた。本人を説得し、一緒に精神医にかかると、やはり躁鬱病などの診断がついたという。
その後、彼は通院を続けたが、就労できるまでに改善することはなく、障害年金を受給することを提案し、本人の承諾を得て、手続きをサポートして年80万円程度の年金を受給できる環境を整えた。
一昨年、両親は相次いで亡くなったが、息子は今も働いてない。ただ、生活面で困ったことがあれば、包括支援センターに電話をかけてくるという。
山口県宇部市の山口大学教授(保健学)でNPO法人「ふらっとコミュニティ」を主催する山根俊恵は、ひきこもり者の親から話を引き出し、問題行動が見つかれば逐一、その場で指摘し、正しい対処法を叩き込むという。親にはこれを自宅で実践させ、後日、「ふらっと」に来てもらって振り返りも行う。
その上で親子関係に改善が見られれば、家族支援からひきこもり当事者への個別支援へとシフトさせていくという。
高度なスキルが求められる支援策だが、宇部市とも連携する「ふらっと」では、これを無料で提供している。
その結果3年間で、支援に携わった家族は8世帯あったが、「全世帯でひきこもり者が外出できるようになり、ほとんどコミュニケーションがなかった親子間でも、日常会話ができるようになった」という。
こうした試みは、全国的に広げていかなければいけない。もはや手遅れになりつつあるはずだから。
お次は、以前、アマゾンにアルバイトして、その体験を本にしたジャーナリストの横田増生が、15年ぶりにアマゾンの物流センターにアルバイトとして潜入し、ポストにルポを寄せている。
当時は、市川塩浜の物流センターがあるだけだったが、今回潜入した小田原の物流センターは、塩浜の5倍の大きさだ。
02年当時のアマゾンの日本での売上高は約500億円だったが、18年は1兆5180億円にもなっている。
シフトは朝9時から午後5時までで、時給は1000円。昔と比べて100円上がったという。
携帯電話の持ち込みは厳重禁止。ハンディ端末を使って、その画面に表示されたところへ“飛んでいって”注文されたものをカゴに放り込む。
上がった時の歩数は2万5306歩で、距離は20キロ以上。
われわれがアマゾンに注文すると、その注文はいったんアメリカのアマゾンのサーバーに飛んでいくそうだ。そこからそれぞれの日本の物流センターに割りふられる。
アマゾンは今でも「絶望工場」のようだ。
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