”元アウトローのカリスマ”瓜田純士が大ヒットアニメ『天気の子』をメッタ斬り!
#インタビュー #瓜田純士
新海監督にはセンスがない!?
麗子 ひどい……(泣きそうな顔に)。
純士 ごめん、ごめん(と妻に謝る)。でも、これが本音だから。編プロの男が「月刊ムー」のライターっていう設定はいいにしても、それが物語に効果的に絡んでいない。「今こういう都市伝説を検証しているんだが、俺はおっさんだから向いていない。ちょうどおまえぐらいの年齢の子を探していた。ちょっと潜入取材に行ってこい」ってことで帆高が事件に巻き込まれ、その最中に謎の少女と出会い、発砲したチャカの硝煙がきっかけで古代の天気にまつわる壮大なスケールの話に発展して……とかならいいけど、そういう感じでもなかったじゃん。
で、ここで走らなきゃいいのにって場面で、ことごとく走り出すでしょ、あの帆高ってバカは。チャカだってとっとと捨てればいいものを、なぜか後生大事に抱えたまんま逃げている。陽菜の能力にしたって、なぜ備わっているのかの説明が足りないし。
麗子 説明、あったで。
純士 あったけど、足りない。腑に落ちないんだよ。天気をいじったことのひずみで、街一個を吹き飛ばしちゃうとかの大事に至るならわかるけど、そこまでのことは起きていない。好き勝手に能力を使って、勝手に少女が消えて行く。そして意外と簡単に再会できちゃうから、前作のような切なさもない。そのくせ、泣かせの音楽だけはしつこくしつこくかかっている。いつドラマチックなことが始まるの? と待っているうちに2時間が終わっちゃった。本当に新海って子は……。
麗子 ラブホのシーンとか、めっちゃほほえましかったし、キュンキュン来たやん。
純士 せいぜいあそこがハイライトでしょう。でもそれにしたって、新海監督が憧れていたであろう思春期の子どものちっぽけな冒険みたいなもんを、とんでもない大ごとをやらかしているように見せているだけ。監督の人生経験が浅いから、あんな陳腐な物語になっちゃったんでしょう。
帆高を追うリーゼントの刑事の走り方もまたキモいんですよ。で、帆高が逃げている最中に、なぜか女上司がタイミングよくバイクで現れる。ルパン三世の峰不二子がやるなら、ああいうご都合主義も許せるんですよ。でも、あの絵のタッチでやられると興醒め。ああいうルパンみたいなスリリングな展開を一切遊んでないオタクが手がけるとこうなっちゃうのか、という悪例だと思いました。
麗子 モンキーパンチ(ルパン三世の作者)も、そんなに遊んでいないと思うで。
純士 でも、モンキーパンチにはセンスがあるじゃん。
麗子 それは贔屓目やわ。
純士 いや、新海監督にはセンスがないの! 警察モノとか事件モノに手を出すのは、向いていない。あと、コミカルな描写も不向きかな。てるてる坊主のシーン。あれで笑わそうとしているんだとしたら、センスがないですね。
新海監督は男女の青くさいイチャイチャ描写のセンスはあるんだから、「今、私の胸元見てたでしょ?」「い……いや、見てません(照)」みたいなのを2時間たっぷりやってりゃいいんですよ。RADWIMPSも気の毒だよ。こんな監督に気に入られてさ。
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