野沢雅子の感動逸話と、山田隆夫のギャグの価値
#テレビ日記
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(7月28日~8月3日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
野沢雅子「アニメの力ってなんなんだろうなって思うときあるんですよね」
先週のテレビの中から、ちょっとグッときた話を2つ。
28日の『ボクらの時代』(フジテレビ系)に、ベテラン声優の野沢雅子、田中真弓、山寺宏一の3人が出演。自身のプライベートや、声優という仕事について思うことなどを語り合っていた。中でも、『ドラゴンボール』で悟空役を長年務めてきた、野沢の話にちょっとグッときた。
寝起きでもすぐに声を出せるから、夜中に起こされてもすぐに“かめはめ波”が撃てる。『銀河鉄道999』のアフレコで「メーテルー!」と叫んだら、マイクから最大限離れていたにもかかわらず、新品のマイクが壊れた。最低でも100歳までは現役でやりたい、128歳まではできると自分では思っている。そう豪語するパワフルな野沢が、落ち着いた声で語り始める。
「アニメの力ってなんなんだろうなって思うときあるんですよね」
ある年の2月、男性から手紙が届いた。息子が大きな病気で、2月いっぱいまで持たないと医師から宣告されている父親からの便りだった。「息子が『ドラゴンボール』が大好きなので、色紙にサインをいただけませんか?」そう書かれた手紙を読んだ野沢は、スタッフに頼んで声を録音し、その親子に送った。
「『オス、オラ悟空』つって、その子の名前呼んで。『ぜってぇに来いよ。オラが劇場で待ってっかんな。約束だぞ!』」
その年の8月に公開を控えていた『ドラゴンボール』の新作映画。そこへの来場の呼びかけだった。数カ月後、父親からあらためて手紙が届いた。
「『息子が奇跡を起こして(映画を)見られました。本当にありがとうございました』。ベッドで(映画を見に)行ったらしいんですよ。ベッドで行って、絶対座ることできないんですって。そしたら、『どうしても椅子に座って見る』って言って、椅子を持ってきたら、椅子に座って見てたんですって」
2月までと宣告されていた命は、8月まで生き永らえていた。しかし――。
「で、見られて、帰ってきて、明くる日に亡くなったんですって」
父親の手紙には、別のメッセージも同封されていた。
「お医者さんのお手紙が一緒に添えてあったんですよ。そしたら、『僕たちは勉強して、人の命を少しでも永らえようとか、生きさせようってしてやってるんだけど、それもできなくて。アニメの力ってなんなんでしょう』」
もちろん医療の力も大きかったはずだ。けれど、残り短いとされた命がそれ以上に生き永らえたのは、野沢の声の力、アニメの力があったのだと考えたくなる。少なくとも、お礼の手紙を送った父親は、その力を実感しながら、息子と一緒に数カ月を過ごしたのだろう。
「いやもう、すごいなこのアニメの力って。そのとき、すごい感じたんですよね」
野沢はそう語る。アニメーションの語源はラテン語のアニマ。動かなかったものに、命を吹き込むことを意味するという。
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