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日刊サイゾー トップ > エンタメ > スポーツ  > メルカリ、鹿島買収の舞台裏

16億円はお買い得!? メルカリ「鹿島アントラーズ買収」の舞台裏

鹿島アントラーズ公式サイトより

 メルカリがサッカーJ1チームの鹿島アントラーズを買収した。なぜ、シーズン途中のタイミングで買収をしたのか、時系列で探ってみた。

 まず、メルカリは鹿島買収をリリースする5日前、2019年6月期の個別業績で約104億円の特別損失を計上すると発表している。これは、グローバル企業へと変貌を遂げるために進出した米子会社の株式価値が著しく下落したためだ。

 日本ではヤフオク!に代わり、あっという間に個人と個人(C to C)の取引市場を席巻したメルカリだが、米国には古くからガレージセールやフリーマーケット文化が根付いている。もちろん、ヤフオク!やメルカリのようなネット取引もあるが、受け渡しは手渡しで、かつ地域内での売買が多い。メルカリの得意とする広範囲でのマッチングを利用するユーザーは 、オークション形式であるeBayを好んでいる。

 そういった背景もあり、米国では思ったような成長曲線を描けず、株価が下がってしまった。そこに、2月に日本でサービスを開始したメルペイの広告宣伝費もかさんでくる。結果、18年の上場時の高い評価がウソのように、現在は黄色信号が点滅する企業とされてしまっていた。そんな中でリリースしたのが、鹿島の買収だ。

 しかし、メルカリは鹿島の買収によって、現在の負のスパイラルから抜け出せるのだろうか?

「今回、日本製鉄が鹿島を手放したのは、企業間取引(B to B)を主とする企業に、プロスポーツは不要だからでしょう。B to Bであれば、広告で企業価値を高める必要もありませんから。ゆえに、鹿島は日本製鉄におんぶに抱っこだったわけではない。ヴィッセル神戸のように、親会社から多くの広告宣伝費をもらっていないのに、昨季は4億円の利益を出した。そんなチームを16億円で買えたのですから、メルカリからすればお買い得すぎです。さらに、メルカリのシステムとスポーツは整合性もある。おそらく鹿島と連携して、スタジアムでの支払いをメルペイにしたり、メルカリのシステムを使ってオフィシャルグッズの販売を展開するのではないでしょうか」(サッカーライター)

  では、メルカリの鹿島買収は、Win-Winの関係になるのだろうか?

「神戸のように、サッカーに素人のオーナーが現場に口を出さなければ、問題ないと思いますよ(笑)。あとは、鹿島の独特の2つの文化をどうするかがキーでしょう。ひとつは、何がなんでも勝つ、というチームの文化。相手へのリスペクトやフェアプレーよりも勝利。プロビンチャ(地方都市のクラブ)ならではの、いい意味で閉鎖的な雰囲気に、都会の風を入れないことはポイントでしょう。もうひとつが、ゴール裏のコアサポーターです。Jリーグで最も先鋭化されている鹿島サポーターが、新規顧客獲得時にネックになる恐れはあると思います」(同)

 メルカリが物言わぬ株主として振る舞い、一方でスタジアムではITを駆使し、かつプロスポーツのスタンダードを取り入れた快適な空間を作り上げれば、今回の買収は間違いなくWin-Winになるだろう。

 それよりも今回の件で一番驚いたのは、Jリーグで最も多くのタイトルを獲得しているチームの価値が、たったの16億円だったということ。茨城、しかも特急電車も止まらない立地ゆえの金額ということか……。

(文=TV Jorunal編集部)

最終更新:2019/08/01 18:00
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