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薬物でパクられたら裁判でどう戦うのか?【1】

取り調べで黙秘しても保釈可能 裁判前に依存症治療施設で教育! 薬物犯罪で逮捕された後の戦術

 また、いち早く弁護士を呼ぶのは別の意味でも重要であると、薬物事件に詳しい弁護士のA氏は語る。

「刑事事件全般において被疑者は最大で23日間身柄を拘束されますが、逆に言えば弁護人としては23日間しか裁判の準備ができない。しかも、起訴されたら99%以上の確率で有罪になるといっていい。ということは、裁判で無罪を勝ち取るよりも、不起訴にして釈放させるのが理想的なんです。そのための準備期間は1日でも多くあったほうがいいんです」

 さらに言えば、逮捕前の職務質問の段階で弁護士を呼ぶことも有効だそうだ。

「職務質問は、任意の捜査なので応じる必要はないんです。ただし、合理的な理由もなしに断ると、それが逮捕要件になって逮捕状が出てしまうこともある。よって、従わざるを得ない場合もありますが、職質における身体検査は服の上から触れるだけで、ポケットの中に手を突っ込んだりしてはいけません。また、『車の中を見せてください』という場合でも、ドアの隙間から車内を見渡す程度ならいいのですが、勝手にダッシュボードを開けたりするとガサ入れになる可能性が高いので、捜索差押え令状を取らなくてはならない」(A氏)

 しかし、実際にはこのような職質も行われている。

「警察官は法律の専門家ではないので、それが違法であると認識していないことも多い。また、職質される側も『そういうものなんだろう』と思ってしまう。そこで違法性を的確に指摘できるのは弁護士しかいないんです。だから職質を受けたときに、電話で知り合いの弁護士に相談したり、ネットで検索してすぐに動ける弁護士に来てもらったりするのは、違法な捜査を未然に防ぐことにもなります」(同)

 そして、違法な捜査があったときこそ弁護士の出番だという。

「職質中に警察官が違法に車のダッシュボードを開けて、そこから覚せい剤が出てきたとします。でも、違法な捜査で収集された証拠は裁判では使えません。そもそも犯罪の立証責任は検察官にあるわけで、彼らがもっとも恐れるのは十分な証拠を揃えられないこと。その意味では、勾留中の取り調べで黙秘を貫くというのもまた有効です」(同)

 被疑者や被告人には黙秘権があるのは広く知られている。しかし一方で、黙秘権を行使すると、心象が悪くなり、量刑が重くなったり、本来付くはずだった執行猶予が付かなくなったりするかもしれない……という不安も残る。

「警察官も『しゃべらないなら実刑だぞ』とよく言うんです。でも、そもそも警察にそんな権限はありません。起訴権限は検察官にしかないし、量刑は裁判所が決めるものですから。私に言わせれば、警察官が取り調べでいろいろ聞いてくるということは、まだ十分な証拠が揃っていない可能性があることを意味します。であれば、被疑者はわざわざ証拠を与えてやる必要はない。だから、もっとも強力な弁護は被疑者に一切しゃべらせないことなんです。証拠が足りなければ裁判で勝てません。検察官が気にするのは有罪にできるか否かであり、もし無罪になればキャリアに傷がつきますから、裁判をしないという判断に傾く。つまり、不起訴になる可能性が出てくる」(同)

 事実、警察側も弁護士が被疑者と接見する前、逮捕直後に自白を取ろうとするという。ゆえに一刻も早く弁護士を呼ぶべきであり、弁護士が来るまでは一切しゃべらないことが得策なのだ。

■起訴されてから自白すればいい

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