吉本興業、ブレイク不発の中堅芸人から搾取する「共依存」構造で事業拡大
#吉本興業
反社会的組織の会合における闇営業問題に端を発して、上層部の体質問題へと発展している吉本興業。
所属芸人に対するパワハラ行為や、ギャラの取り分などが焦点となっているが、そんななか吉本は自社で管理する常設劇場の増強を考えているという。お笑い業界関係者はこう話す。
「かつては大阪と東京に、旗艦となる大きな劇場を持ち、その下部組織のような形で若手が出演する劇場がいくつかあったのですが、最近では大宮、幕張、沼津などの商業施設内に劇場を構えるようになっています。そういった劇場がそれなりに回っているということもあって、日本各地に展開する目論見があるようです。また、『東京グランド花月』と題して有楽町のよみうりホールで不定期のお笑いイベントも開催していますし、劇場ビジネスの拡大には力を入れています」
大宮や幕張などの地方都市の劇場に出演しているのは、芸歴10〜20年くらいの中堅芸人が多い。
「通常のバラエティー番組にはあまり出演していないけど、ネタ番組などでたまに見るレベルの芸人。つまりブレイク不発の中堅芸人です。若手の劇場に出るほどキャリアは浅くないけど、なんばグランド花月やルミネtheよしもとに出るほど知名度があるわけではない、というレベルの芸人が吉本にはごろごろいるんです」(同)
そういった中堅芸人たちは、吉本にとって、もっとも使いやすい存在なのだという。
「ブレイク不発の中堅芸人は、すでに年齢も30代半ばを越えていて、芸人を辞めるに辞められない状況。だから、ギャラが安い仕事でも、とりあえずこなしていくしかない。吉本にしてみれば、そういった中堅芸人を安いギャラで使うことで、地方の劇場を上手く回していけるんです。しかも、キャリアはそこそこあって、劇場での場数も踏んでいるので、ネタは面白いし、ちゃんとウケてくれる。こういった中堅芸人が吉本の劇場ビジネスを支えているんです」(同)
くすぶっている中堅芸人たちの月収は「どうにか食べていけるレベル」であることが多いようだ。
「仕事のメインは劇場出番で、そのほかにイベントの司会やネット番組などがあるといった状況で、月収は10万〜20万円くらいでしょうね。たまに地方での営業なんかが入れば、30万円くらいになることもある。それなりに生活はできるレベルですが、他事務所の同じくらいのキャリアの芸人に比べると安いでしょう。そういう意味では、吉本に飼い殺されていると感じている中堅芸人もいると思います」(芸能事務所関係者)
ただ、中堅芸人たちも吉本の所属であるからこそ、ダラダラと芸人を続けていられるというのも事実だ。
「吉本の自社劇場がなければ、無収入になっている芸人も多い。吉本が劇場をたくさん作ってくれているから、中堅芸人が生き長らえているのも事実。吉本の芸人たちは、待遇に不満を持ちつつも、吉本に依存している部分は大きいんです」(同)
中堅芸人を飼い殺す会社と、会社に頼る中堅芸人。いわば「共依存」のような状態でもたれ合っているのが吉本と芸人たちなのだ。芸人たちの働き方改革が求められているが、それが実践されることで職を失う芸人も少なくないだろう。問題はそう簡単なことではないのだ。
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