“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が新曲発表も、アンチにマジ切れ!?
#インタビュー #瓜田純士
「俺は音楽で食ってきたわけじゃない」
――(笑)。
純士 だから、時代考証をしっかりやりつつリリックを書きました。たとえば「脱ぎ捨てられたチャッカブーツ」という言葉が出てきますが、これはその時代に活動していたマフィアが実際に好んで履いていたもので、フェラガモが作ったトラメッザというメンズラインのブーツなんですね。そういう史実をちゃんと調べつつ、街の名称とかにも誤りがないかを調べつつ書いていったら、勝手にストーリーが出来上がった感じです。
――前作とは打って変わって、明るい曲調なのが意外でした。
純士 まず、ただのラップじゃないんだよ、瓜田夫婦はいろんなジャンルをできますよ、という器用さを見せたかった。また、どうせ発表するならバズらせたかったので、いま世界で最も視聴回数が多いといわれるジャンルにしたんですよ。ラテンポップ? あるいはレゲトンっていうのかな? レゲエのようなノリにラテン系の歌詞が入るような曲。
――それは初挑戦の領域だったと思うのですが、迷わず飛びつき、すぐさま発表してしまうスピード感が瓜田夫婦の強みですね。
純士 ラップ初挑戦で前作の「recollection~遠い日の記憶から~」を完成させた時点で、今後はどんなジャンルでもできるだろうと思ったんで。最初はもっとゆっくりな曲調にしようかとも思ったんですけど、「どこにでもある感じで退屈や」と嫁が言うもんだから、セオリーを無視していろいろ聴き比べてみた結果、稲妻が落ちるような感じで「これだ!」というトラックを見つけました。前作同様、Kombow氏のトラックです。
――セオリーを無視するところがアウトローの瓜田さんらしいですが、そこを「素人くさい」と捉える視聴者もいるようです。
純士 俺は音楽で食ってきたわけじゃない。ただの物書きなんですよ。だから俺らがやっていることを、監督目線であれこれダメ出しする奴らが出てくる。こっちがフレッシュな感じだから、上から教えてやろうという凡人の発想でね。
いきなりこんなベートーヴェンみたいな天才が現れて、その音楽に耳なじみがないからって、既存のものと照らし合わせながら「ああしたらいい」「こうしたらいい」と型にはめようとする。そんな奴らには、ちょっと待ってくれと言いたいです。瓜田夫婦は最初から違うだろ、と。セオリーだのなんだの言いだしたら、見た目から何から全部改造しなけりゃならなくなる(笑)。
一見アウトローっぽいけど実は型にはまったミュージシャンといえば、湘南乃風の若旦那とMINMI(2016年に離婚)とかがいるわけじゃないですか。ディスるわけじゃないけど、彼らはアーティストとして完成されていて、ちゃんとしたレールに乗っている。そういう人らの「いろいろあったね、俺たち」っていうストーリーを求めるならば、最初からそっちを聴いてくれ、という話なんですよ。瓜田夫婦を一緒にするな、と。
振り子打法のイチローだって、プロデビュー当時に(土井正三)監督からフォームを変更しろと言われたらしいじゃないですか。でもイチローはそれに従わず、自分のスタイルを貫いて、あれだけの選手になった。俺も一緒。型にはめようとする声に従って、ありきたりな完成度を目指すようだったら、つまんない表現者になっちゃう。だからこのスタイルは変えません。負け惜しみじゃなく、腹が立っているわけじゃなく……いや、存分に腹は立っているんですけど(笑)、腹が立っているのはそいつらのセンスのなさに対してなんですよ。
――なるほど。
純士 汐留のイタリア街で、いつものプロファイリングのカメラマンと、遊び半分でMVを作ってみた。カネも時間もかけていないからツッコミどころ満載だけど、曲は良くない? と思ってもらいたくてやっているんですよ。そのへんの機微をわからない奴は、今すぐチャッカブーツを履いて船着き場に来い! リリックの通り、チャカで頭蓋骨を撃ち抜いてやるから。
――瓜田さんのラップと奥様の歌が、何度も入れ替わる展開が新鮮でした。
純士 俺が日本語ラップで、嫁まで日本語ラップだとつまんないから、真逆を掛け合わせていくことにしました。語り口調で暴走する旦那を、シンガーである嫁の美声でふたをする。それを何度も繰り返す構成です。男女デュオだと展開も多くなるから、目も耳も飽きずにより良く聴こえる効果もあるんじゃないかと。
――フック(サビ)が印象的ですが、あの歌メロは瓜田さんが考えたんですか?
純士 楽譜を書けないので鼻歌で作った感じですけど、おおまかなメロディは俺が決めました。でも結局、レコーディングの最中に嫁のアーティスト魂が炸裂して、勝手なアレンジを加え始めたので(笑)、そのへんは夫婦合作ということになりますね。
――レコーディングの所要時間は?
純士 2時間です。俺のパートは一発録りで、10分程度で終了。残り時間はすべて嫁のパートの録音でした。そこは性格の違いで、俺は予習をきっちりして行って、一気に集中して終わらせたいタイプなんだけど、嫁は逆。「なんとかなんねん」と予習もせずに行って、現場でのひらめきを頼りに納得いくまで粘り強くやるタイプなんですよ。嫁は俺のことを「どんだけ出たがりやねん!」とツッコミつつ、「もっとウチにも歌わせてよ(笑)」と言って、どんどん自分が出しゃばってきた。
しかも、DJのTVXI氏には譜面も何も見せていないし、鼻歌も聴かせていないのに、「ここの語尾は高く上げんのか、低く下げるんか。どっちがええと思う?」とか言いだして。録り終わってミックダウンする段階になってからも、嫁は「ここは高いほうがええわ」とかDJに何度も注文するわけです。俺はせっかちだから「どっちでもいいから早く完成させよう」と思ったけど、嫁は完璧主義だから「妥協すんのは絶対にアカンねん」と言って、いつまでもDJとやりとりをしている。
しまいにはDJが「勘弁してください。そもそも僕、譜面も見ていないし原曲のメロディも知らないんですから、高いだの低いだの言われても知りませんよ!」と音を上げそうになったので、俺が平謝りする羽目に……。
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