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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > テレ東グルメ番組で有吉も閉口
テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

小籔&有吉も閉口…『ハードボイルドグルメリポート』が覆す食番組の概念

テレビ東京『ウルトラハードボイルドグルメリポート』

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(7月14~20日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。

石塚英彦「『食』って、結局は好みじゃない?」

 人間がやっていた仕事の多くを、これからはAIが代行してくれる。テレビに関しても、たとえば食レポのリポーターがいらなくなる。なぜなら、AIが過去の膨大な食レポのデータを解析して、最適なコメントを言ってくれるようになるから。そんな話をよく聞く。

 AIに詳しくない僕は、それが本当に訪れる近未来なのかどうかよくわからない。だからひとまず、食レポのスペシャリストたちの話を聞いてみる。石塚英彦、彦摩呂、内山信二の3人が14日の『ボクらの時代』(フジテレビ系)に出演し、食レポのテクニックや心がけなどを語っていた。

 石塚らが告発するところによると、内山は食レポをするとき、たまに食べているように見せかけて食べていない。ガーッと食べているように見せながら、丼と箸をカチャカチャさせているだけだったりする。なぜか? 内山の弁解によると、それは口の中が食べ物でいっぱいだとコメントが言えなくなってしまうからだ。

「生放送だと、すぐにコメント言わないとってあるじゃないですか。でもキャラ的にガーッといかないといけないじゃないですか。だからガーッといきながら、(口の中に)ほとんど入ってないんですよ」(内山)

 つまり食レポは、身体的なパフォーマンスでもある。

 彦摩呂は最初、アイドルグループの一員としてデビューした。そんな彼が情報番組のリポーターを始めた当時、「食レポ」や「グルメリポート」という言葉はまだなく、テクニックを教えてくれる人もいなかった。だから開拓者の1人として、さまざまなノウハウを独自に編み出していった。

「パスタもぐるぐる巻いたら最後にシメジで止めるとか。そういう細かいことを全部自分で考えて。どうやったらおいしく見えるかなってことを、ずーっとやってた」(彦摩呂)

 食レポには、テクニックを生み出したプロセスが刻み込まれている。

 石塚は、食べ物をランクづけする番組についても持論を語る。たとえばハンバーグに順位をつけるとしても、それぞれお店の人たちが命を懸けて創作したものだ。にもかかわらず、自分のような通りすがりの人間が「これが2位です、これが1位です」と順位をつけていくのは、本当はものすごく失礼だ。

「もっと言っちゃえば、『食』って、結局は好みじゃない? それぞれの1位、2位、3位があっていいんだから」(石塚)

 食レポには、タレントたちの店への配慮や、食へのこだわりが含まれている。

 AIは、過去の食レポのデータの中から、目の前の料理を表現するのに最適な言葉を選び出すという。しかし、その膨大なデータのプールの中で、食レポをするタレントの身体的なパフォーマンスや、テクニックを生み出してきたプロセス、店への配慮や、食へのこだわりなどは、かき消されてしまうのだろう。もちろん、それら諸々を消去しても、食レポは成立するのだと思う。けれど、それは果たして石塚らがやっている食レポと同じものなのだろうか?

 いや、もしかすると、目の前の料理にためらうことなくランクをつけたりするグルメ番組は、すでに多いのかもしれない。だとしたら、AIの導入をまたずして、AI的な方法論はすでに広く普及しているということかもしれないけれど。

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