『ハッパGoGo』世界で初めて大麻を合法化したウルグアイ産映画
#大麻 #パンドラ映画館
ウルグアイでは大麻1グラム=1ドル
ジャマイカルートとコンタクトできたことで、浮かれるアルフレドたち。宿泊先のビルの屋上で、さっそく入手したマリファナを楽しむ。他愛もない言葉で、ゲラゲラと大笑いするアルフレドとタト。大麻吸引シーンをリアルに撮影しているほかにも、いろんな大麻トリビアが本作には盛り込まれている。ウルグアイは大麻を1グラム=1ドルで販売されることを知って、米国人は驚く。NYでの相場は20ドルだからだ。ちなみに日本での末端価格は、1グラム=3,000〜5000円(武蔵野大学出版『大麻大全 由来からその功罪まで』より)。ウルグアイと比べて、値段が異様に高いことが分かる。それだけ裏社会が潤っているということになる。
本作は決してマリファナ解禁のためのプロパガンダ映画というわけではない。大麻入りブラウニーを知らずに朝ご飯代わりに食べてしまったアルフレドの母タルマが「気分が悪い」と訴え、ウルグアイ駐米大使館でぐったりしてしまうシーンも撮影されている。緑内障の治療薬であり、抗うつ剤としても知られている大麻だが、人によって、またその日の体調によって効果が違ってくるので、誰でもいつでも「超ハッピー♪」というわけではなさそう。過剰摂取には気をつけたい。
学生時代にマリファナをやっていたことで有名なオバマ大統領との会談を終えたムヒカ大統領と、アルフレドたちはいよいよ合流。どんな結末が待っているかは、劇場で楽しんでほしい。ムヒカ大統領の退任後、ウルグアイは大麻の栽培に成功し、国内販売にこぎ着けたわけだが、大麻関係者と関わることを嫌う銀行からは大麻を扱う薬局は取り引きを断られるなど、想定外の問題も派生している。
その一方、米国のカリフォルニア州やカナダでも2018年からは大麻が完全合法化に、さらにニューヨークやスペインでは未成年や営利目的以外での少量の大麻利用は犯罪として扱わないなど、大麻を容認する方向へと海外では進みつつある。いちいち大麻を取り締まるのに、膨大な税金を費やすのは無駄だと考えるようになったわけだ。世界でいちばん貧しい大統領が始めたこの実験的政策は、やがて日本でも受け入れられることになるだろうか。
(文=長野辰次)
『ハッパGoGo 大統領極秘指令』
監督/デニー・ブレックナー、アルフォンソ・ゲレロ、マルコス・ヘッチ
出演/デニー・ブレックナー、タルマ・フリードレル、グスタボ・オルモス、イグナシオ・ロケ、ペペ・ムヒカ
配給/Action Inc.+Smoke
7月13日(土)より新宿K’s cinemaにてロードショー ※13日と14日(日)は監督が来日してのK’s cinemaでのトークショーあり。
(C)Loro films
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