『カニバ』佐川一政が再会を願った女優・里見瑤子との20年
#映画 #インタビュー
佐川との出会いはアダルトの現場だった
里見は、佐川とは20年前に会っていた。しかも、それは高槻彰監督の『実録SEX犯罪ファイル』という1998年にリリースされたアダルトビデオ作品の撮影現場で、2人は共演者として邂逅していた。今回の『カニバ』の中で佐川が若い女性を相手にベッドや浴室で絡む映像が挿入されているが、編集で顔が映らないようになっているその若い女性こそが、里中ゆりという名義で出演していた20年前の里見だった。
「当時の私は、ピンク映画とかアダルトビデオとかの違いがわからずに仕事していたんです。高槻監督からは『ちょっと変わった作家、一夜を一緒に過ごし、3回絡みがある』という条件を事前に説明されて出演しました。私はパリで起きた事件のことを知らずに、佐川さんのアパートを訪ねたんです。そこで映画の話をしたり、『今度食事に行きましょう』 みたいなおしゃべりをして過ごしていたんですが、途中で高槻監督が事件被害者の女性の写真を取り出して、『それでも映画を観に行けますか? 一緒に食事に行けますか? 絡み、できますか?』と私に訊くわけです。意地の悪い企画ですよね。佐川さんとの絡みですが、ご両親が近くに暮らしていて、撮影があることを話していなかったみたいなんです。いつも家族そろって食事をしていた佐川さんがアパートから出てこないことを心配して、ちょうど絡みのときにドアのチャイムが鳴ったりして、その後もうまくできなかった記憶があります」
このときの体験は、2人にとって大きな意味を持つものとなる。里見はドキュメンタリー性の強いアダルトビデオから、脚本があり、役を演じることが前提であるピンク映画へと路線を定め、それまでは出演するメディアごとに変えていた芸名を里見瑤子で統一するようになる。女性に対してコンプレックスを長年抱いていた佐川にとっても里見は忘れられない女性となり、しばらくは交流が続いたという。
「その頃の佐川さんは交友関係が広くて、芸能人みたいにきれいな女性をよく連れていました。恒例のバーベキュー大会を開いていましたし、ほかの女友達と一緒に日光まで旅行したこともあります。そのときは、ドキュメンタリー監督の森達也さんが同行していて、カメラを回していました。森さんが撮った映像が作品になったかどうかはわかりません。佐川さんとはそんな感じの交流が一時期ありましたが、特にケンカ別れしたとかではなく、なんとなく疎遠になっていったんです。『カニバ』の撮影は久々の再会でした」
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