『カニバ』佐川一政の実弟が、加害者家族の実情を告白!!
#映画 #インタビュー
これで兄弟間の隠し事はなくなった
映画の中では、純さんが兄の世話をかいがいしく焼く姿が映し出される。現在は入院中の兄を見舞うため、1日おきには病室を訪ねているという。自分と両親の人生を破壊した兄のために、どうしてそこまで尽くすことができるのだろうか?
「家族なんだから、兄の世話をするのは当然のことです。きょうだいが多いと、中には家族の介護を押し付け合うところもあるのかもしれません。でも、僕にしてみれば、それは家族じゃありません。僕はただ当たり前のことをしているだけなんです」
自分の欲望は抑え、兄に尽くしているようにしか見えない純さんだが、『カニバ』の中で思いがけない告白をする。カメラに向かって二の腕を純さんが見せると、その腕は赤く腫れ上がり、多くの傷が残っていることが分かる。純さんによると、これは自傷行為ではなく、性癖の一種なのだそうだ。
「はっきりと覚えています。3歳のときでした。僕の寝巻の袖の部分に、太い輪ゴムが通してあったんです。その袖に腕を通すと、輪ゴムの圧迫感がすごく気持ちよかったんです。誰にもそのことを話せないまま、快感を求める気持ちが、だんだん高じていきました。一番気持ちいいのは、有刺鉄線を腕に巻くことです。ハンガーに有刺鉄線を掛けておくと、自分ひとりで巻くことができるんです 。錐を使うこともあります。1本では物足りないので、5本ほど束にした錐を腕に落とすと、血が少しにじんで気持ちいいんです。下半身も元気になります(笑)。僕は、兄が人を食べたいなどと考えていたことを、事件が起きて初めて知りました。兄も僕のこの性癖を、今回のドキュメンタリーで初めて知ったんです。同じ家で育っても、お互いの心の中までは分かりません。映画に出たことで、初めて兄弟間の隠し事がなくなったといえるかもしれませんね」
家族とは、血を分けた兄弟とは何か? ドキュメンタリー映画『カニバ』の焦点の定まらない映像の中に、あなたは何を見つけるだろうか?
(取材・文=長野辰次)
『カニバ/パリ人肉事件38年目の真実』
監督・撮影・編集・製作/ヴァレナ・バラヴェル、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー
出演/佐川一政、佐川純、里見瑤 子
配給/TOCANA R15+ 7月12日(金)
(c)Norte Productions,S.E.L
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