『カニバ』佐川一政の実弟が、加害者家族の実情を告白!!
#映画 #インタビュー
まるで双子のように育った兄弟
日本に帰国後はマスコミの寵児となり、一時期はピンク映画やアダルト作品 にも出演していた佐川だが、現在は生活保護を受け、病院での入院生活が続いている。本作を監督したのは、ハーバード大学感覚民族誌学 研究所に所属するヴァレナ・バラヴェル、ルーシァン・キャステーヌ=テイラーの2人。15年に日本で取材撮影が行われた本作は、佐川兄弟にどのような形でオファーされたのだろうか?
「僕も詳しい内情は知らないんです。兄と以前から付き合いのあった佐藤寿保監督から連絡があり、その電話には僕が出ました。兄に用件を伝えると、佐藤監督にはピンク映画などで世話になったし、彼の紹介なら取材を受けてもいいんじゃないかということになったんです。それで、兄が暮らしていたアパートで1週間くらい撮影が続きました。兄の食事の世話をしていた僕も必然的にカメラに映ることになったんですが、ずっとカメラを回し続けていたので、どういう狙いで撮っているのか、よく分からないままでした。向こうは、どうしてあんな事件が起きたのか訊きたいのでしょうが、兄は体調が悪く、口数も少ない。これでは埒が明かないと思い、兄がどのような幼少期を過ごしたのかを知ってもらうため、一緒に育った僕自身の話もすることにしたんです。以前は人前に出ることも、カメラの前に立つことも嫌でしたが、もういいかなと。僕自身の話をすると、監督たちは喜んでくれました」
幼い日の純さんが、兄とおそろいの服を着て一緒に遊ぶ8ミリ映像が本作の中で紹介されている。まるで双子のようだ。とても兄弟仲がよく、愛情に満ちた家庭で2人が育ったことが分かる。
「父も母も絵心があり、カメラで撮ることも好きでした。兄弟で一緒に映っている写真がたくさん残っているんです。両親は兄と僕とを別け隔てなく育てようという主義でした。それには理由がありました。戦時中、両親は満州で過ごし、父はソ連軍に抑留され、満州に残された母は苦労し、そのとき生まれた姉はわずか10日間しか生きられませんでした。また、兄は生まれたときはとても小さく、体も弱かったんです。パリで起きた事件は兄が過保護に育てられたせいだとマスコミから責められ、母はすごく悩んでいました。今では子どもを学校まで車で送り迎えすることは日本でも珍しくありませんが、虚弱体質だった兄を高校まで母が送り迎えしていたことも事件当時は叩かれたんです」
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