西島秀俊が”あすなろ抱き”『きのう何食べた?』最終話
#内野聖陽 #西島秀俊 #きのう何食べた?
“あすなろ抱き”される西島秀俊
中村屋で買い物をしているシロさんとケンジ。ごんべんのつゆと低脂肪牛乳が激安になっていることに、シロさんは感激した。
「ありがとう、中村屋。最高です! 今年も通わせてもらいます」(シロさん)
きっと今までなら心の声としてナレーション処理していたはずなのに、声に出してお礼を言うシロさん。明らかに変わってきている。
ケンジの誘いで、駅の近くのカフェへ行った2人。店内は女性客ばかりだ。男2人客のシロさんとケンジは、周囲から注目を浴びてしまった。シロさんが居心地悪くしていないか気にするケンジ。一方のシロさんは平然としている。
「いいかげん、もういいかなあと思って(笑)」(シロさん)
かつては2人で商店街を歩くのも嫌がっていたはずなのに、回を追うごとシロさんを覆う壁が1枚ずつ剥がされていった。「大きいほう食えよ」と、ケンジに大きいスコーンを渡すシロさん。ただ、長生きするためにスコーンにクリームを付けないのが2人流だ。
自宅に戻ったシロさんはケンジに髪をカットしてもらう。これは漫画の第1話に描かれたエピソードである。1話から12話にかけ次第に変わっていたシロさんが、原作1話につながっていくという構成がニクい。
「俺も相方としては、なるべくお前にはハッピーでいてほしいと思ってんだよ。だから、お前が幸せ感じるなら、これからはカフェぐらい何度でも付き合うよ」(シロさん)
ケンジがハッピーでいることを望むシロさん。激安商品に感激するシロさんを見るケンジも幸せそうだった。結局、2人はパートナーの幸せを自分の幸せとイコールにしている。愛しさが爆発し、ケンジは後ろからシロさんをハグした。“あすなろ抱き”される西島秀俊。この演出もニクい。そのまま、2人は沈黙する。BGMはあえてなし。まるで、無音の部屋が2人を包み込んでいるようだ。
最後は2人の料理シーン。海老の処理をしていたケンジは手をケガし、それをシロさんは気遣った。
ケンジ「やだ、シロさん優しい……。惚れ直す!」
シロさん「チャッチャとやれ。海老の鮮度が落ちる」
ケンジ「恋の鮮度は落ちてない、俺たちの?」
シロさん「保ってんじゃないか(笑)?」
ケンジ「良かったぁ~! エービーシーディーイーエフジー、エッチエッチエッチエッチエッチッチィ~」
シロさん「最低だな(笑)」
ケンジ「海老ってなんかエッチじゃん。お尻から動いちゃったりしてさ」
2人の直接的なスキンシップを極力排除してきた『きのう何食べた?』。でも、ドラマ版は2人のカップルとしての側面もキチンと表現した。
料理を協力し合ったシロさんとケンジは食卓に座り、最後は「いただきま~す」。同性愛のカップルを描くドラマであり、もっと大きな意味での愛を描くドラマでもあるということ。
原作だとサラッと描く場面も、あえて感情的に仕上げることが多かったこのドラマ。「現実の世界ならこうなる」と誠実に肉付けした結果だと思う。原作をリスペクトしながら、決して原作のトレースに留まらなかった。すでに十二分の格と人気と知名度を獲得しているのに、あえて新境地に挑戦してくれた西島秀俊と内野聖陽の2人にも拍手を送りたい。
(文=寺西ジャジューカ)
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