出川哲朗が「ジェラ」した2人の芸能人
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阿佐ヶ谷姉妹・渡辺「やっぱりおばさんって、生き物の輝きに涙するようになる」
最近、「お笑い第7世代」というくくりをよく耳にする。発端は、霜降り明星・せいやのラジオでの発言らしい。「M-1グランプリ」で霜降り明星が優勝、キングオブコントでハナコが優勝といったように、2018年は20代の芸人の活躍が目立った。バラエティ番組でも、EXIT、宮下草薙、四千頭身、ゆりやんレトリィバァ、ミキといった若手芸人をよく見る。「お笑い第7世代」は、そんな20代から30代前半ぐらいまでの芸人をくくる言葉として使われているようだ。
ただ、芸人が「世代」ですべて区切れるわけではない。たとえば、阿佐ヶ谷姉妹。ピンクのドレスをまとって歌う彼女たちは、第何世代なのか?
姉妹と名乗りながら血縁関係はない、そんな渡辺江里子と木村美穂の2人が「似ている」という理由でコンビを組んだのは2007年のこと。『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」や『爆笑レッドカーペット』(同) など、テレビに少しずつ出始めたのは10年前後だった。6月7日に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「芸歴はっきりさせよう企画」では 、劇団の研究生だった渡辺は1994年には芸能事務所に所属していたともされ、ここから数えるとすでに彼女の芸歴は25年に及ぶ。そして、「第7世代」が躍進したといわれる18年、『THE W』で優勝した2人はすでに40代中盤だった。
そんな「第○世代」の枠外にいる姉妹が、21日の『桃色つるべ』(関西テレビ)に出演。笑福亭鶴瓶やももいろクローバーZとトークしていた。
2人は自分たちのことを「おばさん」と呼ぶ。優勝した『THE W』で披露したのも、おばさんがおばさんのお見舞いに来たり、おばさんがおばさんを誘拐するというネタだった。渡辺は、「おばさん」の定義を次のように語る。
「やっぱりおばさんって、生き物の輝きに涙するようになるっていうか。お花ひとつとっても、ただピンクだなぁ、赤だなぁじゃなくて、はぁー、育ってるわねぇとか、伸びてるわねぇみたいなことで、ちょっとホロっときたり」
生命の輝きに涙するのが「おばさん」。木村はその具体例として、「山菜を食べたときとかに命の輝きを感じて、涙が出る」と語った。
阿佐ヶ谷姉妹の2人からそう聞くとなんだかリアリティがあり、「おばさん」ってそうなのかな、とも思う。けれど、姉妹の実年齢、40代中盤という客観的な事実を知ると、それは少し誇張しすぎな気もする。一回り、あるいは二回りぐらい上の世代の話なんじゃないか、と。けれど、彼女たちが語ると、やっぱり説得力がある。年齢の遠近感がおかしくなってくる。
そんな阿佐ヶ谷姉妹は番組終盤、ただただトルコ行進曲をアカペラで歌うというネタを見せていた。他の番組ではショートバージョンでお送りされることもあるネタだが、この日披露されたのはほぼフルバージョン。もともとこのトルコ行進曲の歌ネタは、安田祥子・由紀さおり姉妹のパロディだったはずだ。しかし、もうそんな文脈も離れ、ピンクの衣装を着た「おばさん」が、なぜだかずっとパヤパヤ、ダバダバ歌っているというおかしみに移行している。歌い始める前、2人は鶴瓶やももクロに優しく語りかけた。
「眠かったら、寝ちゃってください」
お笑いBIG3は、いまだに現役で活躍している。中堅以下は海外に飛び出したり、YouTuberになったり、オンラインサロンを開いたりなど、テレビの外の世界にも活躍の足場を築こうとしている。「上がつかえて、下が出ていけない」という嘆きもよく耳にする。そうこうしているうちに、新世代は順番待ちの列を一気にまくろうとしている。
テレビの中で「面白い」を競い合うそんなお笑い芸人の栄枯盛衰を横目に、世代も年齢も曖昧な、それでいて「おばさん」の世界観は明確な阿佐ヶ谷姉妹は、今日も笑みをたたえてダバダバ歌う。「面白い」のカテゴリーは、「ほほえましい」の方向に少し広がる。
(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)
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