『インハンド』は、映画『アウトブレイク』の丸パクリ? 荒唐無稽なパンデミックものと思いきやリアルな風刺劇に
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山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第10話が14日に放送され、平均視聴率8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から横ばいとなりました。
(前回までのレビューはこちらから)
栃木県・相羽村にBSL4(バイオセーフティーレベル4)の危険な細菌を取り扱う研究所を建設予定だという元上司・福山和成(時任三郎)から、副センター長にならないかと打診を受けた紐倉哲(山下)。同村出身の高家春馬(濱田岳)の帰郷に便乗し、現地の偵察に訪れます。
その相羽村では、厚生労働省の口車に乗って研究所の建設を決めてしまった役所と、断固反対を唱える市民との間で争いが勃発。そんな混乱の中、高家は幼馴染で役所勤めの杉山美園(石橋杏奈)と反対派のリーダー・棚橋弘樹(平岡祐太)が、婚約していたものの騒動のせいで仲たがいしてしまっていることを知り、複雑な想いを抱きます。
一方、紐倉は美しい自然が広がる相羽村のことを気に入るも、元助手・入谷廻(松下優也)と交わした約束と、現助手・高家の面倒を見るためにも、自身の研究所を建設したいと考え、福山からのオファーを断ります。
そんな中、サルに引っかかれてケガを負った美園の父親・実喜男(中本賢)が吐血し、搬送先の病院で死んでしまいます。その症状を目撃した紐倉は、かつて入谷がワクチン精製に命を注いだ、アメリカ陸軍が秘密裏に開発した新型エボラウイルスに感染したのではないかと考え、実喜男と接触した者をすぐさま隔離するよう要請。しかし、通常のエボラウイルスより強力かつ空気や飛沫感染するよう改良された新型のウイルスはあっという間に村内に拡散し、政府によって村ごと封鎖されることが決定します。
ウイルス拡散の原因は福山にあるのでは? 紐倉が問い詰めたところ、研究所で働かせるためアメリカから呼び寄せた息子・新太(磯村勇斗)が、意見の食い違いによって口論となり、どこかへ姿を消してしまったことを知るのでした。
さらに、その新太に棚橋が山小屋を貸していたことが判明したため、慌てて現地へ向かうと、そこにはエボラ出血熱によってすでに死んでいる新太の研究仲間の姿が。そうこうしている間にもウイルスは爆発的に感染し……というところで今回は終了となりました。
実喜男がサルに引っかかれたことによって発症、という流れにどこか見覚えがあるなと感じたのですが、1995年に公開されたハリウッド映画『アウトブレイク』にソックリな展開だとすぐに思い当たりました。
細部は異なりますが、この映画でもサルが感染源となってエボラ以上の致死率と感染力を併せ持つウイルスがアウトブレイク(爆発的感染)し、街が封鎖され、という展開でした。今回、紐倉が牧野巴(菜々緒)に「君にしかできないことが絶対ある」と説得して、封鎖される直前に村の外へ出るよう促した場面がありましたけど、これが伏線になっているのであれば解決方法も映画と同じ可能性があります。
とはいえ、伝染病が爆発的に広まる、いわゆるパンデミックものは「自分の身に起こったら?」と想像するとゾッとしますし、それだけ引き込まれるものがありますよね。荒唐無稽な話かと思いきや、ネットで調べたところ、東京都武蔵村山市にあるBSL4施設に今夏、エボラ出血熱などを引き起こすウイルスを初輸入する予定であることがわかり、よりリアリティーが増しました。東京五輪・パラリンピックに向けて検査体制を強化するのが狙いのようですが、大規模な国際大会が開催されることによってさまざまな感染症が広まるリスクがあるのだな、と改めて気づかされました。
今回は、武蔵村山市の市民の不安を考慮せずに計画を遂行しようとする厚労省を風刺しつつ、ウイルス感染の恐怖を描いた回となりましたが、パニック状況の中で美園が棚橋の子どもを妊娠していることが発覚したり、福山の吐血(エボラではない病気?)や、新太との確執などの要素が散りばめられ、最終回へ向けて一気に盛り上がってきた印象です。
また、内閣官房サイエンス・メディカル対策室の情報を厚労省に流している裏切り者がいるようなのですが、これが誰なのか。カメラワークなどから、御子柴隼人(オリエンタルラジオ・藤森慎吾)が怪しいのですが、ここも気になるところです。
さらに次回、高家まで感染してしまうとのことですが、紐倉は福山から「お前、変わったな」と指摘されるほど、高家に影響を受けて人間味が出てきただけに、熱い人間ドラマが展開されることは必至。同じウイルスに感染し、結果的に死なせてしまったかつての助手・入谷と同じ目に遭わせてしまうのか。あるいは「天才」と豪語する真価を発揮して、ワクチンを精製することに成功するのか。次週を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)
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