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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 電気グルーヴ騒動を斬る!
『ダースレイダー自伝 NO拘束』発売記念インタビュー【前編】

「CD回収を『仕方ない』って思っちゃう僕らもヤバい」ダースレイダー、電気グルーヴ騒動を斬る!

電グルCD回収は、社会の責任でもある

2010年、脳梗塞により左眼の視力を失い、「片目のおじき」の異名を持つ

――その思考停止の話に、電気グルーヴ作品の出荷停止、在庫回収、配信停止の撤回を求める署名活動もつながりますよね?

ダースレイダー はい。まず、僕は滝さんや(石野)卓球さんと直接の知り合いではない、 という立場で話しています。瀧さんが犯したことに対して、瀧さんが向き合わなきゃいけないのは、社会の中で生きる人としては当然です。でも、電気グルーヴの作品に関してどう扱うべきなのか? それに対する答えが、回収(出荷停止、在庫回収、配信停止)の一択しかない風潮は思考停止していると思います。本来であれば、売上金全額をダルクのような(薬物依存者の)支援団体に寄付する。もしくは、店頭での販売だけは中止する。プロモーションは行わないなど、ほかにもいろいろな選択肢があったと思うのですが、ソニーは回収一択だった。

 選択肢というのは、プラスとマイナス、それぞれの側面だと思うんです。今回はマイナス面に関しては考えられていて、それで(薬物中毒者の与える悪影響と考えて)回収となった。でも、プラスの面は考えていたのかなって。

 瀧さんに限らず、今後も、不祥事を起こした人を世間から抹殺してしまうのか? 戻ってくるためには償いをするとか治療をするとか、いろいろな方法がありますが、自分の作った作品をを享受するファンがたくさんいるってことは本人のモチベーションになるわけだから、そういう面も検討しましたか? という話です。

――今回の件に限らず、以前からミュージシャンが不祥事を起こすたびに、レコード会社による“自粛”が当然のように行われていますが、なぜ自粛するのか、具体的な理由は明示されません。

ダースレイダー 最初はL’Arc〜en〜Cielっていわれているんですが(筆者注:1997年にドラムのsakuraが覚せい剤取締法違反の現行犯で逮捕。これを受けて、バンドの活動およびシングルの発売中止、旧譜も一時的に回収された)、何か不祥事があった時に作品を回収する動きって、さまざまな選択肢の中から選んだってわけじゃないですよね。「不祥事を起こした人を放っておくとソニーの株価に影響が出る」と言う人もいますが、僕は逆に、こういう時にきちんと選択肢を検討して「弊社は、その選択肢の中から〇〇を選びました」っていうことをアピールできる会社こそ信用に値する会社で、株価も上がるべきなんじゃないかなって思う。そうならないのであれば、日本の社会の問題でもある。世間が会社のそういった行動を評価しないから、会社もマイナスばかりを見てしまう。それは僕らの責任だと思うので、今回声を上げました。回収を「仕方ないよね」って思っちゃう僕らもヤバいよ! っていう。こういう時にきちんと考える会社を評価して、そこの製品を買おうと思わないと、会社側もマイナスばかりを考えてしまう。今回の話は独立した話じゃなくて、社会全体に連動しているんです。

――そういう意味でも、一連のマスコミ報道をどのように見ていましたか?

ダースレイダー マスコミの報道は「何をみんなが見たいか」という写し鏡でもある。瀧さんが釈放された瞬間、ヘリコプターで追っかけたり、髪形の話したり、謝り方がどうとか。そういった報道を「くだらねえ」と言っている人がいるのと同じ数だけ、それを見ている人もいる。そのことを考えなきゃいけなくて、そういう人たちにそうじゃない選択肢を提示しなきゃいけない。

 いろいろな報道があった中から、「俺は瀧の髪形が気になる」っていうのを積極的に選んでいる人がいるなら、「あなたはそういうセンスの人ですね」でいい。でも、今は選択肢を与えられていないし、それにすら気づいてないことが本当に多い。

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