芸能界を生き延びる、ヒロミの処世術
#山里亮太 #マツコ・デラックス #ヒロミ #テレビ日記
ヒロミ「スタッフにガッといっちゃいますから。殺しちゃいますから」
「『火曜サプライズ』 のロケは初めてですか?」
岡田と木村にそう尋ねたヒロミは、「大人」としてロケをうまく回すことを約束する。
「大丈夫です。僕ですから、一緒にやるのが。すっげーちゃんと短めにやりますから。任せてください。これが若手だとね、結構チンタラやるんですよ。ここはもう大人ですから。スタッフにガッといっちゃいますから。殺しちゃいますから」
ヒロミは、ある世代の屈折を体現しているように見える。今ならハラスメントになる言動があまり問題にされず飛び交っていた時代を、若手として生きてきた。しかし、自身が年長者になると、時代はハラスメントに敏感なものに移り変わっていた。そんな世代の、特に男性の屈折を、である。
一方に、ハラスメントの加害者と指弾されないための身の処し方を心得て、実践するヒロミがいる。他方に、それはあくまでも「身の処し方」であること、時代の変化に完全に染まらずに逸脱する俺が思わず出ちゃうことを随所でアピールするヒロミがいる。同じ屈折を抱える者たちに、「やりにくい時代っすね」とでもいうようなメッセージを目配せで送る。そういう二面性の出し入れで生き残る。ヒロミ流、ハラスメント告発社会の泳ぎ方というか。いや、それは別にヒロミの専売特許ではなく、同様の泳法を身につけた小さなヒロミは、そこらへんにいくらでもいるのかもしれない。
今の自分は「いい人キャンペーン」をやっている。テレビから一度姿を消し、その後、あらめて露出を増やし始めたころのヒロミは、しきりにそう言っていた。そんなヒロミに、山里がこうツッコんだことがある(『ナカイの窓』日本テレビ系、2014年10月8日)。
「絶対にいい人は、それを言わないんですけどね」
なるほど、人の根は深い。
(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)
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