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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > モラハラ夫がそれに気づくまで(3)
【DV、虐待、モラハラ加害者の頭の中とは?(3)】

モラハラ夫だった僕がそれに気づくまで――解決に向けた手掛かり(前編)

おしゃべりを通じて、過去が変わる

――嫌なことがあったとき、世間話などのささやかなおしゃべりで気持ちが少し和らぐことってありますよね。

中村 おしゃべりには効能があります。内容は天気の話とか他愛のないことでいいんです。ただおしゃべりのポイントとして「自分の思ってもいないようなこと」を話さないことですね。自分の思っていることとしゃべってることがずれていくと自己不一致が起きてきてしまうので。

――しかし大人で、特に職場なら、ある程度本音と建前の使い分けは宿命ですよね。

中村 はい。だからこそ、思ってもいないようなことを話さずに済む「気楽なおしゃべり」の場は大人ほど大切です。

――今この流れで思い出したんですが、冬の終わりにちょっと気難しい人と歩いていた時に、「今日はあったかいですね」と話したら「そんなにあったかいと思わない」とぶっきらぼうに返され、それすら否定かと、もや~っとしたのを思い出しました。でも今ここで、この話をして、それを聞いてもらうことで、なんだか成仏できた感じはあります。笑い話になったというか。

中村 それがまさにおしゃべりの効能です。会話を通じ、過去のモヤモヤが「成仏」するんです。過去そのものは変わりませんが、自分が捉える過去の意味づけが変わるんです。それが傷が癒えるということなんですよね。

――「過去と他人は変えられない」的格言がありますけど、「過去の意味付け」は変えられるんですね。しかも、何も本人に「あのときは傷ついた!」とか問いたださなくても、他の人と話すことで成仏させられるというのは希望のある話ですね。

中村 カウンセリングはまさにそういう作業ですね。そういった作業を通じ、これからの自分の物事の受け取り方も変わってきます。心地いいコミュニケーションができるようになり、自ずと問題も起きにくくなってきます。私の場合、雑談でのコミュニケーションを通じ、“何を言っても大丈夫”と受け入れてくれる環境で自己肯定と自己受容を回復させることによって、頭の中の地雷の数を減らしていくことができました。

 * *

『DVはなおる 続 被害・加害当事者が語る「傷つけない支援」』(ジャパンマシニスト社)

 DV、虐待、モラハラの処方箋の1つは「おしゃべり」。気軽にくつろいだ雰囲気の下でのおしゃべりは人を和やかに幸せにする。しかし、気軽なおしゃべりができる相手がいないから困っているのだという人も多いはずだ。最終回となる第4回では、引き続き解決のための手がかり編。中村氏に「おしゃべり」のコツについて聞いていく。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/])

 

 

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

 

 

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最終更新:2019/11/15 11:32
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