宮下草薙、どこにも馴染めない2人がたどり着いた「ネガティブ漫才」という王道
#お笑い #インタビュー #宮下草薙
草薙「子どもの頃からずっといいことがなかった」
――まさかの。
草薙 養成所に入ってからどうなるかはわからないと思ってましたけど、まさか養成所落ちるとは考えてなかった。
――レアケースかもしれない。
草薙 それで、ほぼなんの説明も見ずに太田プロのスクール(太田プロエンタテイメント学院東京校)に応募しました。
――太田プロじゃなかったら、お2人は出会ってないわけですもんね。宮下さんは、NSCに行こうとは思わなかったんですか?
宮下 思わなかったです。そこはわりとコイツと似てるのかなと思うんですけど。あんまりガチャガチャしたノリが苦手で。養成所で「自分の殻を破ろう」みたいな授業があったんです。みんなで爆弾になって爆発する、丸まってバーンッみたいな。それが嫌で、トイレにこもってたんですよ、その時間。で、その時隣のトイレに誰か入ってて。後から話聞いたらコイツだった(笑)。
草薙 僕も受けたくなくて。
宮下 根本はすげぇ似てるというか。
草薙 馴染めなかった。授業終わると飲みに行く人もたくさんいたんですけど、僕らは誘われなくて。そんなんで仲良くなった。
宮下 人間性は結構似てる。
――いま草薙さんは「ネガティブキレキャラ」という新ジャンルを開拓されていますが、そのネガティブさはいつぐらいから始まったんですか?
草薙 子どもの頃からずっとです。いいことがなんにもなかったんですよね。本当かろうじて生きてきて。いつも1人で遊んでましたね。友達いなかったんで。それこそこの前、初めてスピードワゴンさんの番組で人とボードゲームをやった。
――それまでは1人で……?
草薙 1人でトランプやってました。
――みんなでやるボードゲーム……楽しかったですか?
草薙 楽しかったですね。ただ……楽しいんだろうなって予想はしてたんで。「うわぁ、すごい楽しいぞ」って感じではなかった。そもそも周りに人がいなかったので、暗いと指摘されることもなかったんですよ。養成所入って初めて「暗いなぁ」って言われて、そうなのかと。
――宮下さんは、そのネガティブさが面白いと思ったんですか?
宮下 そうですね、最初に見たネタは、そんなネガティブっていう感じでもなかった。暗いっちゃ暗いんですけど。
草薙 小学校の頃、急に学校でお弁当が必要になったことがあって、でもお弁当箱がなかったんですよ。で、すごい探してやっと見つけたのが、幼稚園の時のお弁当箱だったんです。フタにサンリオのキャラクターの絵が描いてあるやつ。僕、それちょっと嫌だなって思って、深夜に工具箱のマイナスドライバー出して、サンリオのプリントだけこうやって削って。その話をしたらすごい笑ってくれたんですよ、コイツ。あ、やりやすいな、これウケるんだって思いました。
――宮下さん覚えてます?
宮下 はいはい。僕らのライブ、本当に最初ウケなかった。やってることは今と大きくそんなに違わないのに。
草薙 「暗すぎて怖い」ってアンケートに書かれてた。
――あんまり聞いたことないですよね、「暗すぎて怖い」。
宮下 確かに、お笑いで教わったことには反してきましたよ。お笑いでやっちゃいけないってことを、ずっとやってきた。こんなにたどたどしく話ちゃダメだし、もっとテンポよくしないといけないけど。
草薙 できなかったんで。
宮下 逆にそれがなんか個性になって、ほかと比べられなくなったから世に出れたんじゃないですか? テンポの漫才でやってたら、霜降り明星さんに勝てるわけないし。信じてやってきてよかったです。
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