ヴィッセル神戸よりも末期? ”金満クラブ”浦和レッズの病巣とは?
#サッカー #Jリーグ #浦和レッズ #ヴィッセル神戸
5月28日、浦和レッズのオズワルド・オリヴェイラ監督が解任された。鹿島アントラーズを率いた際にはリーグ3連覇、YBCルヴァンカップや天皇杯などタイトルを6度も獲得し、名将と評されたオリヴェイラ監督が、である。
2018年に浦和の監督就任後も、1年もかからずに天皇杯優勝をもたらすなど結果を残したが、なぜ解任されてしまったのか?
今季の浦和はACL(アジア・チャンピオンズリーグ)こそラウンド16に進出しているものの、リーグ戦は4連敗を喫し、14節終了時点で5勝3分6敗の10位に。浦和経営陣は、リーグ戦での成績を重く見て電撃解任したと声明を発表したが、実際のところはどうなのだろうか?
「一番の理由は、オリヴェイラ監督のスピリットと浦和というクラブの色が合わなかったことが挙げられます。オリヴェイラ監督は外部に敵を作り、内側をまとめます。鹿島時代がその最たる例で、審判やリーグ批判を繰り返し、ある試合後には通訳が涙ながらに『なぜ鹿島に不利な判定ばかりするんだ』と叫んだこともありました。その監督の熱に、『俺たちも頑張ろう』と選手たちが結束していく。ですが、鹿島でその手法を散々使っているため、浦和で同様のパフォーマンスをしても、『あぁ、こういうパターンなんだ』で終わってしまう。オリヴェイラ監督は求心力を高め、フィジカルサッカーで勝利を重ねるタイプですから、その掌握がうまくいかないと結果が出ない。それを見切ったのではないでしょうか」
首都圏から離れた鹿島とは違い、浦和は東京のベッドタウンでもある。都内に住む選手たちも多く、鹿島と浦和では、生活からして色が違う。これが地方のクラブならば、鹿島の二番煎じでもうまくいったかもしれない。さらにいえば、監督と選手のマッチングの問題もある。
「オリヴェイラ監督が結果を出した時の鹿島は、勝利至上主義の選手が多かった。一方で今の浦和に在籍する選手たちは、現在コンサドーレ札幌を指揮し、攻撃サッカーで旋風を巻き起こしているミハイロ・ペトロヴィッチ監督の申し子が多い。彼らは、サッカーそのものに楽しみを求めている。審判や相手選手に敬意を払い、美しいサッカーを見せる半面、勝負弱さがある。そんな選手たちとオリヴェイラのサッカーが合うはずがない。ペトロヴィッチの戦術から、オリヴェイラの戦術にかじを切ったフロントが、一番の問題です」(同)
ヴィッセル神戸のように、オーナーである三木谷浩史会長の独裁に問題があるのならば、ある意味で病巣ははっきりしている。
だが、浦和の場合、経営陣はサラリーマンばかりで、数年後にはほとんどがクラブを去る。にもかかわらず、クラブ創設以来、同じ問題を抱え続けている。途中、サッカー界からGMを引っ張ってきて任せても、数年後にはスクラップされる。ビルドされることなく、積み上がらなかった石の残骸が浦和には散らばっている。今回でいえば、オリヴェイラ監督を就任させるならば、選手を総入れ替えするくらいの決断をフロントは行うべきだった。
そういった背景を見ると、神戸よりも浦和のほうが末期に思える。金満な2つのクラブが惨憺たる状況というのは、なんとも皮肉なものである。
(文=TV Journal編集部)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事