セックスすれば、友達ではなく恋人になるのか? 徳永えりのフェロモン充満『月極オトコトモダチ』
#パンドラ映画館 #徳永えり
”遅咲き女優”徳永のリアルな色気
園子温監督の名作『紀子の食卓』(06)や岩井俊二監督の珠玉作『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16)では、「レンタル家族」がモチーフとなっていた。お金を介することで、ようやく理想の家族が手に入るという現代社会のアイロニーが描かれていた。でも、時給制でつながる“疑似家族”としての距離感と関係性は、意外と心地よかったりもする。また、疑似恋愛もとても映画的な題材だといえるだろう。どこまでが演技で、どこからが本音なのか。そのボーダー上に、那沙と柳瀬は立つことになる。
主演の徳永は、映画『フラガール』(06)や『春との旅』(10)で注目され、かねてから演技力に定評があった。2018年に放映された深夜ドラマ『恋のツキ』(テレビ東京系)で、地上波ドラマながら過激な濡れ場を演じて話題となり、30歳にしてブレイクした感がある。ちょっと地味めな、生活感のある雰囲気が、逆に男心をそそらせる女優である。
そんな徳永扮する那沙は、柳瀬のマンションにスマホをわざと置き忘れ、終電間際になって取りに戻る。こういうあざとい芝居を、徳永は実にリアルに演じて見せる。那沙は柳瀬のマンションで一夜を過ごすことに。2人で、どこまで友達でいられるのか確かめ合うことになる。
実験の第1ステップは、体の接触。ベッドの上で手を握り合っても大丈夫。第2ステップはキス。唇と唇を寄せ合う2人。これもなんとかクリア。そして第3ステップは、いよいよセックス。一線を踏み越えても、お互いにそれまでの友情をキープできるのか。マンションの一室に、むせ返るほどの濃厚なフェロモンが充満する。深夜の人体実験はどんな結果をもたらすのだろうか。
那沙と柳瀬の関係に大きな影響を与えることになるのが、那沙の親友であるミュージシャンの珠希(芦那すみれ)だ。那沙と同居中の珠希も柳瀬と知り合うことになるが、柳瀬も音楽をやっていることからすぐに意気投合する。ウェブ記事を執筆する那沙は言葉で思考するが、ミュージシャンの珠希は感覚で理解する。レンタル契約なしで、珠希と柳瀬が仲良くなっていく様子を傍から見ている那沙は歯がゆくてたまらない。
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