『ソロモンの偽証』藤野涼子、腐女子役で証明した確かな演技力
#女優の花道 #藤野涼子
NHKのよるドラ枠(土曜夜11時30分~)で放送されている『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』は、ゲイの高校生・安藤純(金子大地)を主人公にした青春ドラマだ。
ある日、純は本屋で同級生の三浦紗枝(藤野涼子)が、BL(ボーイズラブ)本を購入しているところを目撃してしまう。「みんなには黙っててくれる?」と懇願する三浦さん。一方、BL本を読んだ純は「ファンタジーだなぁ」とつぶやく。
純は「BLって世界を簡単にしないための方法だと思う」と言う三浦さんに感銘を受け、少しずつ彼女に惹かれていく。異性を愛して普通の人生を送れるのではないかと思った純は、ゲイであることを隠して三浦さんと交際するようになる。しかし、いざ、セックスしようとした時に体が反応しない。三浦さんのことは好きだが、性的に興奮するのはやはり男なのだと知った純は、三浦さんと気まずい関係になる。
物語は純の視点を通して、同性愛者に対する周囲の視点を切り取っていく。やがてゲイであることをクラスメイトに知られてしまった純は、人生に絶望し、飛び降り自殺を図る。幸い命は取り留めたものの入院生活を送ることになり、心を閉ざしてしまう。そんな純に対して、今でもあきらめずに接しようとする三浦さんの、恋愛とも友情ともいえる交友が実にけなげだ。
本作は同性愛者の葛藤を題材にしたドラマで、LGBTムーブメントの中で生まれた作品のひとつだといえるだろう。だが、本作の切り口が独特なのは、同性愛者の恋愛や性愛をBLという形で消費している腐女子と、性に対する葛藤が一番強い時期の思春期の渦中にいるゲイの少年を主人公にしていることだ。
原作は小説投稿サイト・カクヨムで連載後、単行本化された浅原ナオトの『彼女が好きなものはホモであってオレではない』(KADOKAWA)。単行本化の際に、自身も同性愛者だとカミングアウトした浅原は、LGBTという言葉とそれに付随する運動に苦手意識を持っていると語っており、むしろBLを読んだことによって同性愛者である自分に対して自己肯定感を持てたという。
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