「かたおもい」が紡ぐ色とりどりの景色――ドラマ『パーフェクトワールド』第6話
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「かたおもい」が紡ぐ色とりどりの景色――ドラマ『パーフェクトワールド』第6話
小泉今日子が、ヒット曲「木枯しに抱かれて」で、「せつない片想い あなたは気づかない」と歌ったのは1986年のことだ。
この曲に限らず、「片想い」のつらさ、切なさは、これまで幾多のドラマや歌で取り上げられてきた。相手に自分の想いが伝わらない苦しさには、多くの人が共感し、ドラマチックな物語が生まれる。人が人に恋をする限り、「片想い」は、永遠のテーマなのかもしれない。
ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)第6話。今回は、いくつもの片想いが交錯する、切なさに溢れた展開となった。
帰郷を決意するつぐみ
樹(松坂桃李)に別れを告げられた夜、つぐみ(山本美月)を待っていたのは、父・元久(松重豊)が倒れたという知らせだった。つぐみと、妹のしおり(岡崎紗絵)、幼馴染みの是枝(瀬戸康史)の3人は慌てて地元・松本に帰った。
幸い、元久の容態は深刻なものではなかったが、以前から心臓が悪く、病院にかかっていたことを知らされる。樹との別れ、父親の病気、思い悩んだつぐみは、松本に帰ることを決意する。
東京の会社を辞め、松本行きのバスに乗るつぐみ。それを知った樹は、バスターミナルまで見送りに行く。そこにいたのは、見送りをすませた是枝だった。樹は間に合わなかったのだ。是枝は樹に、「間に合わなくてよかった。会ったら迷ったかもしれない」と話す。そして、「近い将来、つぐみにプロポーズする」とも告げる。
部屋に戻った樹は、喪失感に苛まれる。つぐみと別れたことが正しかったのか? 間違っていたのか? そこにやって来たのは、ヘルパーの長沢(中村ゆり)だった。二人が別れたことを聞き、彼女は涙を流す。
長沢のこの涙は、どんな涙だったのだろう?
「つぐみが現れてから自分の居場所がなくなった気がしていた。ずっと樹が好きだった」そう告白する長沢。10年、長い長い片想いだ。その想いの果ての、「邪魔者がいなくなった」という喜びなのだろうか? 「自分がまた樹のそばにいられる」という安堵なのだろうか? いずれにせよ、そこには、「片想い」の切ない気持ちが溢れていたのは間違いない。
そして、このシーンには、もう一つ片想いが隠れている。長沢が結婚した相手だ。長沢は、「樹のことを忘れるために結婚した」と言った。でも、夫になった人は、長沢のことを本当に愛していたのではないだろうか。「結婚」という、ある意味、恋愛の成就を迎えてもなお、彼は片想いをしていたことになる。そんなことにも思いを馳せて、より切なくなってしまうのだ。
東京と松本、距離が離れたこともあり、つぐみと樹は完全に別れを受け入れる。スマホの連絡先を削除し、心にけじめをつける。「今風の別れだな」と思う。
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