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日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『世界まる見え!』に芸人戦々恐々

若手芸人にとっては鬼門? 千鳥が『世界まる見え!』を楽しむ新たな視点をレクチャー!

『世界まる見え』に出ても、おいしくないのが当たり前

 今回の企画に招集されたのは、プラス・マイナス、東京ホテイソン、大自然の3組。やはり、若手芸人は『世界まる見え』を鬼門だと捉えているらしい。

プラス・マイナス岩橋「(『世界まる見え』を見たら)すぐチャンネル替えます。あんなもんは見てられへん。ゾッとする! 『お笑い向上委員会』も、ゾッとするからチャンネル変えます」

 ただ、『お笑い向上委員会』と比べて『世界まる見え』は正道ではない。リアクションを求められているようで、実は全然求められていなかったりするのだ。たけしが持つ道具から何が出てくるか? それが明らかになった瞬間を笑いのピークに設定している。だから、若手芸人の取ったリアクションは、ないがしろにされることが多い。

ノブ「たけしさんが“シャーッ!”ってやって、その後、やられた側が何か言ってるくらいのところで“テーテーテテー”ってタイトルバックに入ってるから。早めにリアクションしないと」

 このスピード感は芸人にとっての苦行である。今回のシミュレーションで、それが白日の下にさらされた。というのも、トップバッターの大自然が、見ていて不憫になるほど力を発揮できていなかったのだ。

 まず、スタジオにニセたけしが登場し、大自然ののぶひろをイスにくくりつけた。その後、突如出現した風船が膨らみ、イスの真横で破裂した。驚いたのぶひろは「ウオーッ!」と叫ぶ。でも、ニセたけしは、のぶひろに見向きもしない。新たな風船を手に取り、ほかの出演者に向けて威嚇する。その風船もすぐに破裂し、スタジオにいる全員は卒倒。ニセたけしはニンマリ。それ以外の出演者はペースに巻き込まれただけ。誰も手応えを感じないカオスのまま、オープニングは終了してしまった。まさに、『世界まる見え』の世界観だ。

ノブ「手応えなかったでしょ? これなんですよ。(大自然の)ロジャーがつっこみが面白い人だとかスタッフさんたちは知らないから、“ウオーッ!”の後の風船で終わり。今、全然おいしくなかったですよね? でも、これですから」

大悟「『ウオーッ!』の後にコメント欲しいとこやん? でも、その間で次の風船が来ちゃうから。で、ほかの出演者が倒れてる時、画面にはもう提供テロップが出てるから」

『世界まる見え』はリアクションを待たない。たけしが誰かに何かを仕掛け、「こいつらの役目はもう終わり」と思ったら次のターゲットに照準を絞っている。若手がリアクションしようとしても、時すでに遅し。司会が別の行動に移ろうとするより前に、やられた側がせっかちにならないとダメなのだ。じゃないと、ただのいけにえで終わる。

 そういう意味で、この日はプラス・マイナスが頑張った。天井から温水のシャワーが降り注ぎ、ニセたけしに水鉄砲で撃たれた岩橋。すぐに濡れた衣服を脱ぎ、上半身裸で「ハワイで一番ロコモコ食う奴~!」と持ちギャグを言い放った。「うるせえ、この野郎!」とニセたけしは構わず水鉄砲を撃ち続けたが、なんだかんだ岩橋はコメントを放り込むことに成功している。あと、温水シャワーがあさっての方向へ飛び散ったのを指摘しないのもよかった。同番組では、この手のミスがよく起こるのだ。

大悟「『世界まる見え』で水が出てくる穴は、絶対どっちかに曲がってるから」

ノブ「搬入の時にズレるから(笑)。つっこんだらあかん。あれ、トラップやから」

 まさに、プレイヤー目線。今回の珍企画によって、がぜん、『世界まる見え』への注目度が増した。こんなに多くの地雷があり、実力測定場としてこんなにも機能するなんて。

大悟「いろんな先輩が、あの番組で洗礼を受けてるからね」

 ほかの番組で息づくバラエティの教科書が、まるで通用しない空間。ペースを乱された芸人のフラットな力量が確認できる、マニアックな場所。これは、いわゆる裏笑いだ。趣味が悪いと自覚はしつつ、他意を抱いて『世界まる見え』を楽しむ視点を新たに教わってしまった。

(文=寺西ジャジューカ)

最終更新:2019/05/29 15:02
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