トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 36歳独身男『テラハ』を見てみた
36歳独身男の『テラハ』レビュー

新作『テラハ』女優・春花のプライドがズタズタ? 雰囲気イケメン・翔平、調子に乗って墓穴を掘る……

#2 翔平、うっかり墓穴を掘る

 そんな中、選ばれ続けてきた女、春花が牙を剥きます。香織、ケニー、そして春花3人で夕食を食べている時に、香織とケニーとがどんなイラスト描いているか? という話題で盛り上がります。1人会話に入れない春花は「気にしないで」と言いながらも、唐突にケニーに「ギター教えて」と2人きりに。そしてそのまま、2人でデートに行く約束をするのです。この流れに、春花の性格が詰まっているような気がします。春花は絶対にミュージシャンを相手にするわけがないんです。プライドが許さなかっただけだと思うんです。前回、目の前で香織が翔平に「興味がある、強く」と言われてデートに誘われ、今度はケニーとイラストの話題で盛り上がった。しかも、結果的に自分がハブになった。そんなこと、常に選ばれ続けてきたであろう女が許せるはずないんですって。もっと言えば、春花が本当に惹かれる男性は今のテラハにはいない。でも、今の状況は我慢できなかった。きっとそれだけの話。そして、その春花が女子部屋で香織に「ケニーと一緒にデートに行く約束したの」と報告する時の誇らしげな顔、最高に輝いているのです。今後、めちゃくちゃ高スペックな男子が入ってきたら、あっという間にそっちに乗り換えるでしょう。

 最後に、翔平が取り返しのつかない発言をします。別の日の夕食中、メンバーは仕事観について議論になるのですが、そこで翔平が「俺はやりたいことがたくさんあるから、ひとつのことに縛られたくないの。専業しか認めないような奴らはどんどん年老いて死んでいくから、それでよくない?」と発言。

 浅い、めちゃくちゃ浅い……。何かひとつだけにも特化できない奴が、いろいろなことを極められると思っているのでしょうか。翔平の発言は「何者」にもなれない男の戯言ですよ。本当は役者で食っていきたいけど、食っていけそうもないことを感じてしまい、それをごまかすためのダサい防御ですよ。おぼこすぎない? 26歳にもなって。そんでなんなん? 最後のくだり。ニヤニヤしながら「俺は天ぷらが好きだけど、毎日食ったら飽きちゃうかな」の例え。聞いてたメンバー全員「?」って顔してたぞ! 女子メンバーからは「それは言わないほうがいいよ」とツッコまれる始末。これを挽回するのは至難の業だと思います。

 でも、同時に、すごくうらやましくも思うわけです。自分の正義を信じて、恋愛したり議論できることを。例えば、テラハが全員30代以降だと議論にならない。「わかる」「そうだよね」と、お互い承認の嵐なわけです。経験値がすべてを承認してしまう。いろいろな考え方あるからね」「……」「……」って、会話が終わっちゃう。

 恋愛だって、変な奴と思われないように、行儀よく、人様に迷惑をかけないように気ばっかり使ってしまう。好き勝手書いてきましたし、これからも好き勝手書くと思いますが、僕たちは彼らにとやかく言えるほどの恋愛を、これまでしてきたのでしょうか? 大人になって、知識と経験ばっかり増えてしまい、それが手かせ足かせをつけられたような不自由を生んでいるのです。

 テラハはキラキラしているけど、人間くさくて、みっともないシーンもあります。その様子を見て、楽しんだり、ツッコんだり、応援したり、時には自分の不自由さに気づくことができる。それだけでも十分楽しめる番組です。

◆毎週火曜日更新中『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』<https://www.netflix.com/jp/title/80174280>

 

ハッピーエンドを前提として』(KADOKAWA)

ウイさんの初の著書『ハッピーエンドを前提として』(KADOKAWA)が好評発売中。彼氏がいてもいなくても、結婚しててもしてなくても、女も男も、みんなで読みたい恋愛指南書です。

最終更新:2019/05/29 09:26
123
ページ上部へ戻る

配給映画