岩井ジョニ男、コスプレだった“おじさん”が本当の“おじさん”になった日
#インタビュー #お笑い芸人
芸人が辞めるときだけ相談に来る
ジョニ男 まぁ、それは手紙だったんですけど。最後終着駅がここだったのかと。
――すごい……。
ジョニ男 人の相談に乗ったこともないような人間に……。
――ジョニ男さんの中の何かを見抜いていたのでしょうか?
ジョニ男 ああでも、今までお笑いやってる時は何も言わなかった芸人が、辞める時だけ僕に相談するっていうのはある。
――やっぱり終着駅(笑)。
ジョニ男 「辞める」って言った時に、唯一優しい言葉をかけてくれそうな感じがあるのかもしれないんですよね。
――何かの答えを求めて相談するわけではなく?
ジョニ男 そうじゃないんです。「辞める」っていうのは決めてくるんです。だからこっちもなかなか……まぁ「どうして?」くらいは聞きますけど。
――本人が決めた答えを肯定する役割ですね。
ジョニ男 そう、肯定して、次の道に……旅立ちですよね。旅立ちの言葉です。最近ね、飯尾さんと一緒に行く店行く店、初めて入った店でさえも「今週いっぱいで終わります」って、そういうことが立て続けにあったんですよ。それで僕が会計の時に「旅立ちですね」って言ったのを、階段下りて外に出た瞬間に「なにが旅立ちだよ!」って飯尾さんが(笑)。でも、それぐらいしか言うことがないから。よかったですね、ってことでもないですし。
――確かに(笑)。
ジョニ男 なぜか飯尾さんと行くところばかり。それがまた「いい店見つけたね」なんて話をしてるところへ、後ろからマスターに「いや、今週で終わりなんです。店閉めるんです」って言われて。確かに、僕らしかお客さんがいないんですよ、だいたい。その状況で、かける言葉難しいじゃないですか。
――そうですね。「おいしかったです」のひとつも、なんか意味ありげになっちゃいますよね。
ジョニ男 初めて来た店で「いや、もったいない」とか言うのもねえ。「じゃあなんで、今まであなたたちは来なかったんだ」っていうふうにね、責められるから。やっぱり、旅立ちですね。その手の言葉は、結構今までも送ってきてるなとは思ってたんですよね。やっぱり辞めるのを止めたところで、なんの保証もないじゃないですか。
――「あの時止められたから、もうちょっと頑張ったけど、やっぱりダメだった」とか言われても困りますね。
ジョニ男 そうですね。助成金みたいなのをこっちが出せればいいけどね。いつ売れるかわからないし、いつ落ちるかわからないみたいな仕事なんで。なかなか引き止める勇気も……っていう。
――芸人さんは今、新しい世代も台頭してきて。お笑い第7世代と呼ばれている……。
ジョニ男 え!? もうそんなですか? 7!?
――霜降り明星とかハナコとか、20代で賞レースを制する芸人さんが出てきてます。
ジョニ男 賞レース……みんななんか戦いにきてるよなぁ。僕が子どもの頃は、お笑い芸人がそういう「戦い」をしてると思ってなかったんですよ。関根さんや小堺さんしかり、選ばれた人だけがテレビに出てるんだなっていうのが、この世界に入ってようやくわかったくらい。でも、僕は賞レースがどうも苦手で……。
――以前『『内村さまぁ~ず』の出演をかけたネタバトルの取材をしたことがあったんです。そこの控室にジョニ男さんもいらっしゃって。みなさん結構ピリピリとネタ合わせをしている中、ジョニ男さん1人、テーブルの上に散らかっているお菓子の袋とかを片付けていたんですよ。ちょっとニヤニヤ笑いながら片付けてて「あぁ、なんて肝の据わった方なんだろう」って。
ジョニ男 全然据わってないですよ!! めちゃくちゃ緊張してるんですけど、そういうふうに追い込んでいったら、なんかもっとダメになっちゃうんで。たぶん普段通りの、家でやってるような感じの方がいいんじゃないかなって思ってやってたと思います。まさか、そんなところを見られているとは(照)。
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