“世界一ピュアな男”野爆ロッシーの、規格外の優しさ
#水曜日のダウンタウン #野生爆弾 #テレビ日記
コウメ太夫「だまされたかと思って食べてみたら~、だまされてました~」
最後に、別に優しさとか仲の良さとか関係ないのだけれど、特殊な方向に進化している芸人の話を短めに。17日放送の『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)。この番組では、最後のオチとしてコウメ太夫が出てくる回が多いのだけれど、今回もコウメが登場していた。正直、「またか……」とも思ったのだけれど、この日のコウメはバージョン違いかと思うほど、これまで以上に吹っ切れたネタを披露していた。
手の甲に書かれたメモをチラチラ見ながら、「チャンチャカチャンチャ……」といつものイントロの後にコウメが歌い上げたネタは、次のようなものだ。
「おじやを食べているかと思ったら~、おばさんでした~」
「元カノがこっちへ来るかと思ったら~、野生のプテラノドンでした~」
邪推を差し挟む前に笑ってしまうわけだが、冷静に考えてみると、おばさんを誤って食べてしまったときの第一声は、チクショーではない。野生ではないプテラノドンとは、とも思う。だが、そんな常識を当てはめても仕方がない。これもまた、普通の笑いでは飽き足らない視聴者(環境)が生んだ進化のひとつの姿、さまざまに分化していった芸人の多様性のひとつである。
最後のネタは、次のようなものだった。
「だまされたかと思って食べてみたら~、だまされてました~」
だからなんだ、という話だし、ネタを間違えたんじゃないかとも思ってしまうわけだが、いや、ここにはもしかすると、コウメによる意図的な風刺が込められているのかもしれない。これほど注意喚起がなされているにもかかわらず、振り込め詐欺の被害はなくならない。フェイクニュースも巧妙になり、何が正しい情報なのか判断がつきにくくなった。そんな時代にあっては、自分はだまされない、だまそうとする相手を自分は見破っている、そう思っている人でも結局はだまされてしまうのだ。むしろそういう人ほど、だまされやすいのだ。そんなコウメからの社会的な警句が、ここには含まれているのではないか――。
かように、風刺の深読みは野暮である。
(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事