ジワジワくる、ブレない地味女の魅力『野田ともうします。』
#マンガ #ザオリク的マンガ読み
文学少女っぷりがスゴい
ここまでですでに感づいているかもしれませんが、野田さんは文学に精通しており、太宰治や芥川龍之介作品の一節からセリフをちょいちょい引用したがります。それはそれで文学少女らしくて萌えポイントのようにも思えるのですが、野田さんのチョイスはマニアックすぎるのです。
バイト先のファミレスでゴキブリの死骸を見つけた時は、「さようでございます、あの死骸を見つけたのはわたしに違いございません」(芥川龍之介「藪の中」)などとセリフが自然に出てくる博学ぶり。
「太宰治の『津軽』って、文庫本に注釈が447個あるのをご存知ですか? つまり本文と巻末を447回行き来しなければいけないのです!」
みたいな細かすぎる豆知識も紹介してくれます。一般人には恐ろしいほどにどうでもいい知識ですね。
ちなみに野田さんは自分の誕生日を伝える時も、「私の誕生日って、アントワネットが断頭台で処刑された日と同じなんですよー」などと言います。もっとなんか別の表現方法あるだろ……。
ファミレスバイトで大活躍
野田さんは大手ファミレスチェーン「ジョリーズ」でウェイトレスのアルバイトをしています。このジョリーズのキャッチフレーズは「すべてはお客様のために」なのですが、そのフレーズを真に受けている野田さんの接客方法は、ほかの人とちょっと違います。
「和牛ハンバーグ」を頼む客に対し、
「和牛という表記は国産を意味するものではなく、外国で育てた和牛を輸入したものであったりしますがよろしいですか?」
「海藻サラダ」を頼む客に対し、
「もしかして『海草=ヘルシー』と思われてのご注文かもしれませんが、当店のドレッシングをかければみな似たようなものですがよろしいですか?」
「ドリンクバー」を頼む客に対し、
「意外と面倒でおかわりしなかったり元をとろうと無理に飲んで後でトイレに行きたくなったりしがちですがドリンクバーご注文で大丈夫ですか?」
常連に対して、
「あんまりいらっしゃるとエンゲル係数が高まりますがよろしいですか?」
などなど、いちいち余計な一言を添えて接客をしてくれるのです。このせいで、営業に影響が出ていると思いきや、「すべてはお客様のために」を実践している貴重な店員ということリピートして通ってくれている常連客がたくさんいるのです。野田さんの隠されたカリスマ性が光るエピソードですね。
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