妻に嫌がられ、職質されても……ベテラン俳優・田中健と平泉成をつなぐ”ケーナ愛”
#テレビ日記
飯尾和樹「早く行け。イエッサー」
キャッチボールのたとえでいえば、先週は超遠投のキャッチボールも見た。8日放送の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)。同番組の人気コーナーのひとつに、飯尾和樹(ずん)が特定の歓楽街でNo.1キャバ嬢に次々と会い、その中から飯尾No.1を決める、というのがある。今回は京都を訪れていた。
このコーナー、飯尾とキャバ嬢のやりとりもいいのだけれど、キャバクラへと向かう飯尾が道端で発見したあれこれに言及するレポートもまた、毎回楽しい。今回も、料理店のようなところから出てくる香りに気づくと、換気口の下に自分の頭を持っていき「風がなびいてるの、鰹だしですよ」と言い、車庫に入れられた乗用車を見て「頭から突っ込んでますけど、明日めんどくさいんじゃないですか? 出すとき。疲れてたんでしょうね」とつぶやく。
日常の風景の中に人々の生活を読み取る想像力と、それを笑いを交えて的確にレポートする技術。ここにあるものから、ここにないものを活写する力。「画になる」という言葉があるけれど、飯尾はなんでもない情景を「画にする」。西のタージン、東の飯尾と呼んでいいのではないか。
さて、鴨川のほとりに、出雲阿国の像が立っているのを見つけた飯尾。そのポーズを見て、語り始める。
「このさばきですとね、外角うまく右に打てるんじゃないかな。バットの出どころ、すごく褒められる。バットの出どころ、すごくいいですね。素直にこう打てんじゃないかっていう、こう。だからこう……」
素振りをしながら延々と、バッティングフォームの解説を続ける飯尾。そんな彼に対し、スタジオの有吉は思わず「行けよ早く!」ツッコむ。するとVTRの飯尾は絶妙なタイミングで、次のように言うのだった。
「早く行け。イエッサー」
事前に収録されたVTRの中の飯尾と、それを見ているスタジオの有吉。その間には、コミュニケーションを阻む時間の壁がある。しかし、飯尾は持ち前の想像力でその壁を越え、声なき声を聞き、超遠投の会話のキャッチボールを成功させたのだった。
もちろん、飯尾の笑いはさらに時を超えて、視聴者に届く。先週のテレビで起きた小さな奇跡に、大いに笑った。
(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)
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