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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『集団左遷!!』福山雅治が空振り残念

福山雅治のかわいいおじさんぶりが空振り残念!! 廃店銀行に預金が増える謎『集団左遷!!』第4話

軽快さと軽薄さはまったくの別物

 第4話では、その脚本の甘々さがくっきりと露呈します。木田(中村アン)たち蒲田支店の女性行員たちを、経済誌の編集者(猫背椿)がグラビア撮影するために訪れました。1週間後、片岡支店長たちが発売されたばかりの経済誌を開くと、お目当てのグラビアページはなく、蒲田支店が廃店&リストラの危機にあることをスクープした特集記事にすり替わっていたのです。三友銀行全体の財政内情が悪化していることにも言及した内容でしょうから、数日で裏どりしてサクッと書ける記事ではありません。そもそも大手銀行の内情を暴露した記事を掲載することは、普段から大量に広告出稿してもらっているクライアントタブーに抵触するため、容易ではありません。

 その後の展開はさらに「はぁ?」と首を捻りたくなるものでした。取引先の銀行の経営状態がヤバいとなれば、みんな預金を引き揚げる取り付け騒ぎが起きるはずです。当然のように蒲田支店の窓口にはお客が殺到しました。ところが驚いたことに解約を求める客はひとりもおらず、みんな「ここがなくなったら困るからさ」と新たに預金を預けたいと言うのです。片岡支店長はウハウハです。

 これが地域密着型のプロスポーツや地元で長年愛されてきた老舗の食堂などなら分かります。でも、シビアな金融業界を舞台にしたサラリーマンもので、この安直な展開はありえないでしょう。預金を預けにきたお客の中には、ブタ型貯金箱を手にした子どもも混じっています。脚本家は過去に『ROOKIES』(TBS系)などのヒット作を放っているいずみ吉紘ですが、ご都合主義が目に余ります。この脚本でOKしたディレクターとプロデューサーもどうかしています。視聴者を舐めきっています。サラリーマンドラマを軽快に描くことと、軽薄化することを完全に履き違えています。

 

信用を失ったら終わりだ

 第4話では、片岡支店長が本部へと走り、横山常務と直接対決する シーンが2度にわたって描かれました。花沢課長にスパイ行為をやらせていたことに加え、地面師(戸次重幸)の詐欺行為に気づきながら蒲田支店に40億円もの融資をさせようとしていたことを糾弾する片岡支店長。これに対し、横山常務は明後日の方向を向いて「 ひどい言いがかりですね〜」とシラを切ります。 この明後日の向き方は、性格俳優・三上博史ならではの実に素晴しい妙演でした。

 片岡課長(→支店長)の直訴の甲斐なく、花沢課長は別会社に出向することが決まり、1人寂しく蒲田支店から去っていきます。 多摩川沿いの暗い夜道、花沢課長の「がんばれ〜、蒲田〜。 がんばれ〜、蒲田〜」というエールだけが響き渡ります。 泣けるシーンのはずでしたが、せっかくの高橋和也の味のある演技も、ご都合主義が目立つ脚本のせいで感情移入できずに終わってしまいました。

 

気になるメガネ女子行員

 どうしても不満ばかり出てきてしまいますが、ここに来て女性キャストのひとりが気になってきました。三友銀行イメージガールの生田絵梨花ではなく、蒲田支店の窓口にいるメガネ女子行員の橋本真実です。経済誌のグラビア撮影では、中村アンと張り合ってポージングする姿がありました。地味な銀行の制服姿が似合っており、いい感じです。ドラマの本筋とは直接関係のない、中村アンvs.橋本真実の女性行員同士の影バトルを楽しみにしたいと思います。

 さて、気になる視聴率は? 第1話13.8%、第2話8.9%、第3話10.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)という推移でしたが、第4話は9.2%という結果でした。二ケタを守ることはできませんでしたが、あのズボラな脚本では仕方ありません。頼りない片岡支店長を支える真山副支店長役の香川照之や哀愁漂う高橋和也たちの名演があったから、まだこの程度の数字の落ち込みで済んだのでしょう。

 第5話はキムタク主演映画『検察側の罪人』(18年)の犯人役で注目を集めた酒向芳、支店総括部の宿利部長がクローズアップされるようです。脇役ひと筋で生きてきたおじさん俳優たちの熱演に応える、真っ当なドラマになることをせつに希望します。

(文=長野辰次)

最終更新:2019/05/15 16:41
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