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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『きのう何食べた?』よりすごい?
じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

『きのう何食べた?』よりもディープ! よしながふみ飯テロエッセイ『愛がなくても喰ってゆけます。』

食いしん坊の周りには、食いしん坊が集まる

「YながFみ」の知人・友人たちも、食に関してある種の異常さを感じさせます。

 例えば、食べても食べても肥(ふと)らない、燃費が悪すぎて「アメ車」と呼ばれる女、O田N子。彼女も食に関してはだいぶダイナミックな持論を持っています。

「ヘルシーなフレンチくらいつまらん物は無いわね。ヘルシーに食いたきゃ他の物食うっつーの、アメリカ人の食う低脂肪アイスクリームのような欺瞞の匂いがするわ、ヘルシーなフレンチって」

 なるほど、フレンチにヘルシーさなど求めるなと。しかも、アメリカ人の食う低脂肪アイスクリームってたとえがなんだかとても具体的すぎます。

 また、Yながの2年後輩で元同居人でもあるM脇K子は激しい甘党。甘いものがあればご飯なんて要らない、ケーキバイキングする前には3食全部抜くとか、4日間食事せず甘いものばかり食べたため、塩分不足に陥りフラフラになるなど、だいぶスイーツ中心のストイックな生活を送っています。そして彼女も、甘いものばかり食べているのに痩せ型です。

 よしなが先生によれば「経験則的に馬鹿げた甘味好きの奴らはみな痩せている。肥った人間は大食した後にさらにデザートを食うから肥るのだ」だそうで。なるほどそういうことか、すべての謎は解けた!! よし、自分もこれから3食デザートのみにすれば激やせできるかも?(無理!)

ゲイに関する、さりげないカミングアウト

 よしながふみ作品といえばゲイの存在は欠かせないわけで、本作にも当然のごとくゲイが出てきます。大学サークルの同期、A藤という男です。

「オヤジは誰でも心の中に一軒のマイすし屋を持っている…」

などと謎の名言を放つ彼は、もともと学生時代はバイセクシャルだったのに、社会人になるにあたって、より世間の風当たりの厳しいほうに宗旨を統一しようと思ってゲイになったのだそうです。そのストイックさ……やはり普通じゃありません。

よしなが先生によれば、「食いしん坊の人間はそれがゲイだろーがノンケだろーが絶世の美女だろーが美味い物の前には必ず皆屈服する」……。次から次へと出てくる、よしなが先生のグルメ名言。一日中食い物のことを考えてるだけのことはありますね。

 そしてこのA藤に対して「YながFみ」が懺悔をしているシーンがあります。

「すんませんずっとゲイをネタにして漫画でメシを食ってきたよあたし、しかもうそゲイで!」

「イヤハヤ、ゲイカルチャーもよく分かってないし、申し訳ない!」

 よしなが先生、実はゲイのことよく知らないでマンガのネタにしてたんだ……。なかなか衝撃的なカミングアウトです。

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