「第三者」の思いがあふれてくる――ドラマ『パーフェクトワールド』第3話
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2人を想う「第三者」の存在
樹の家に戻った2人だったが、そこではヘルパーの長沢(中村ゆり)が待っていた。
「彼が苦しみもがいてきた姿を私は見てきた」という長沢と、「長沢さんは俺にとって特別な人」という樹の関係に、つぐみは複雑な思いを抱く。
事故に遭って入院していた時、看護師だった長沢は樹のそばにいて、励まし続けた。そして長沢もまた、樹に“特別な”感情を持っていたのだ。
一方、つぐみの方にも昔から想いを寄せている人がいた。幼馴染みで高校時代の同級生・是枝(瀬戸康史)だ。毎日のようにつぐみとしおりの住む家に行き、つぐみの頼みごとはなんでも聞いてきた是枝だが、樹への想いを語るつぐみを見て、思わず抱きしめてしまう。
長沢と是枝、2人は、樹とつぐみの恋愛にとっては、あくまでも「第三者」である。ただ、私は性格上、どうしてもこの2人の心情に共感してしまう。自分が想いを寄せている人が、別の誰かを愛してしまう。その切なくもやるせない気持ちは、想いの通じ合った恋人同士ではわからないような、つらいものではないだろうか。そして、この2人には、もう一つ、「相手の障害をどう捉えるか」という問題もつきまとう。
「障害を持っているから恋愛できない」とは思いたくないだろう。ただ、結婚は? 子供は? と考えたときに、好きな相手にとって、どうするのが最善なのか、考えあぐねることは間違いない。
そして、今回衝撃的だったのは、樹とつぐみが「性的な結びつきが持てるのか」という点だ。つぐみの母親も心配したとおり、樹はそのようなことができるのかどうか、視聴者には提示されていなかった。これまでも、ドキュメンタリーなどで障害者の性を取り上げたことはあるだろうが、ドラマで語られるのは珍しいだろう。
結論から言えば、樹に関しては「性的な関係は持てない」だった。もちろん、障害の状況はさまざまだから、車椅子の人が全てそうであるわけではない。ただ、このドラマで「性的な関係を持たない恋人同士」が描かれた意味は大きい。
ドラマの中でどこまで語られるのかはわからないが、性的な関係を持てなくても、例えば、人工授精を試みるとか、養子を迎えるとか、そういった話も出てくるかもしれない。
そして、ドラマを見て最終的に考えたのは、何か一つを取り上げて、それが全てであるように思い込むのは危険だということだ。樹は、脚が動かないと知った時、自ら命を絶とうとした。つぐみの母は、子供が作れないならば結婚すべきではないと心配した。しおりは、障害を持った人を見て「無理」と言い切った。
これらの全ては、思い込みに縛られた、狭い考え方なのだ。
脚を動かさずに生きたっていい。子供を作らずに結婚したっていい。障害を抱えたまま誰かと付き合ったっていい。まずは「思い込み」を外して、世の中を見てみるといい。きっと世界はもう少し生きやすくなっているはずだ。
恋愛の問題に限らない。生きていく上で何か問題にぶつかった時、思い込みを外して、見てみる。このドラマが、そんな思いに気づかせてくれるきっかけになってくれればいいと思っている。
(文=プレヤード)
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