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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『きのう何食べた?』が至高の域

『きのう何食べた?』第4話が描いたシロさんとケンジの馴れ初めが至高の域! 梶芽衣子も名演

テレビ東京『きのう何食べた?』

 4月26日深夜に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)第4話は、父・悟朗(志賀廣太郎)の食道がん手術を控えた筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)にフォーカスした。

 母・久栄(梶芽衣子)は夫が心配で落ち着かず、絵に描いたように取り乱している。そんな姿が、シロさんは意外だったようだ。

シロさん「お母さんってさあ、結構、お父さんのこと好きだったんだね」

久栄「当たり前でしょ……。大好きよ」

 帰宅した久栄は、悟朗がいつも座っている椅子を見ながらしみじみつぶやいた。

「毎日一緒に暮らしてる人って、特別なのねえ」

 今回はこの言葉に尽きる。

天ぷらを揚げるコツ「思い切り」で人生が好転したシロさん

 第4話は3年前にまでさかのぼり、シロさんと矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)の馴れ初めを描いた。当時の彼氏に連れられ、初めて2丁目を訪れたシロさん。端正なルックスから一般社会では女性ウケがいいシロさんも、この界隈だとモテるタイプではない。彼はこのとき、その事実を初めて思い知った。「帰りたい……」と心が折れそうになった瞬間、出会ったのがケンジである。内野聖陽はすごい。目の色だけで、ケンジがシロさんに一目惚れしているのが伝わってくるのだ。でも、2人はそのまま別れた。

 再会したのは、シロさんが髪を切りに美容室へ行ったとき。たまたまシロさんを担当したのがケンジだったのだ。そこで、ケンジはシロさんがパートナーと別れたことを知る。「あっ、そうだったんだ……」と返すケンジから、隠しきれない喜びとチャンスに懸ける意気込みがにじみ出ている。

 このドラマはすごい。原作が描いていないオリジナルシーンの制作に挑み、それが至高の域に達するのだ。友達以上恋人未満の関係性の頃、2人はデートを重ねていた。この時期について、原作は数行の説明だけで済ませている。ドラマ版はここを映像化し、きっちり再現した。カフェで待ち合わせする2人。すでに到着したシロさんに、息を切らせてやって来たケンジがガラス越しに「ゴメーン!」と手を合わせる。当時の様子から、ケンジだけでなくシロさんもちゃんと相手にデレているのがわかる。

 なんといっても、美容室でシロさんがケンジに同居を申し出たくだりである。上階からの水漏れで家が大変な状況にあると沈むケンジ。この時点で、シロさんはもう挙動不審だ。何度も上を見上げ、体は硬直気味。顔にガーゼが被さると、今度は胸板が大きく上下した。原作を知る者なら「あのシーンがついに訪れる」と上気してしまう。そして、シロさんは思い切った。

シロさん「ウチ……、来る?」

 予期せぬ言葉に動揺するケンジは後ずさりし、壁に手をやってモジモジ。ガーゼのせいで状況を把握できないシロさんは「どうした? え? 聞いてる?」。ケンジは「……いいの?」と返答し、2人の同棲生活は始まった。

 この場面で、シロさんの顔にガーゼがかかっているのが憎い。原作ではシロさんの顔にガーゼはかかっていない。でも、ガーゼがかかっているほうが確かにシロさんっぽいのだ。思い切れない性格のシロさんは、顔を見られない状況に助けられた。顔が見えないシチュエーションでアプローチするのも、ツンデレの“ツン”成分過多の彼らしさ十分である。

 久栄に天ぷらをうまく揚げるコツを聞き「思い切りよ。史朗さんに思い切りを求めても無理でしょうけど」と言われたシロさん。天ぷらをおいしく揚げるコツは、人生を好転させる秘訣でもあった。あのとき、シロさんは確かに思い切った。

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