『俺のスカート、どこ行った?』は期待外れ? 古田新太におんぶに抱っこで、目新しさはなし……
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変化を恐れぬ生き方を表した校門破壊
あんまり言いすぎたので、ひとつくらいはフォローしたい。今期のドラマは『きのう何食べた?』(テレビ東京系)、『腐女子、うっかりゲイに告る。」(NHK総合)など、LGBTを扱う作品が多い。もはや、はやりの題材といえる。でも、今作を「安易にはやりに乗っかったドラマ」と無下に切り捨てることはできない。
のぼるはゲイで女装家。だからこそ、フラットな目線で世を俯瞰することができる。しかも、彼の口から多様性を説く以前に、のぼるの存在がそのままテキストになる。「どんな風に生きてもいい。でも、困難を伴うこともある」ということを、この教師は体現している。
実はこのドラマ、94年に放送された『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(TBS系)の舞台となった修和学園の校舎をそのまま使用している。あのドラマでは体育教師・宮崎信一(斉藤洋介)に女装趣味があり、その盗撮写真をばら撒かれた宮崎が逆上するというくだりがあった。時代は変わった。かつては女装すると変態扱いだったけれど、今は堂々と教師になることができる。
第1話のエンディングは、のぼるがブルドーザーで校門を破壊する場面だった。この学校では“5分前行動”が義務付けられており、間に合ったとしても定時の5分前に校門が閉まる決まりになっている。
時代によってルールは変わる。今は正しいルールに思えても、5年後10年後はわからない。現代のルールは永遠のルールではない。今の正義と価値観は、決して真理とはいえない。既存の価値観に意見し、変化を促すことを恐れないのがのぼるという存在だ。
伏線をひとつ見つけた。学校ではオネエ言葉で話すのぼるが、帰宅すると自分のことを「わたし」ではなく「俺」と言っているのだ。彼は、本当はノーマルな気がする。この人はなぜ女装し、そして教師になろうとしたのだろう? この先に、何か深いテーマが潜んでいるのだと信じたい。
(文=寺西ジャジューカ)
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