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「無力」であることを知って人はまた少し強くなる――ドラマ『パーフェクトワールド』第2話

「無力」であることを知って人はまた少し強くなる――ドラマ『パーフェクトワールド』第2話の画像1
フジテレビ系『パーフェクトワールド』ドラマ公式サイトより

(これまでのレビューはこちらから)

 山本美月は不思議な女優だ。

 元々モデル出身だけあって、実に美しい整った顔立ちをしている。ともすれば、冷たくも感じられるその崇高さは、演じている時の表情の豊かさで、ぐっと親近感に変わっていく。この“振り幅”こそが、彼女の一番の魅力だと思っている。

 私が彼女の存在を強く認識したのは、2016年、本田翼とともに主演した映画『少女』だった。

 当時彼女は25歳、演じていたのは17歳の女子高生役。それでも、全く違和感なく女子高生になりきっていた。そして、作品のテーマである「生と死」を、その演技と表情で見事に描き出していた。彼女は、女優として、作品に込められたメッセージを余すところなく表現できる存在なのだ。

 車いすの障害者を描いたドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)第2話。今回も、そんな山本の存在感が際立っていた。

 樹(松坂桃李)を見舞った病室で、つぐみ(山本美月)は、樹のヘルパーをしている長沢(中村ゆり)の存在を知る。長沢と樹の親密な様子に、居づらくなったつぐみは、病室を後にする。

 病院のロビーで、樹の会社の後輩・渡辺晴人(松村北斗/ジャニーズJr.・SixTONES)と会い、彼もまた左足が義足であることを知る。前回同様、“障害”を目の当たりにした時の、戸惑いの様子を山本はうまく演じている。

 一方、長沢とともに自宅に帰った樹は、家の前に捨てられていた子犬を拾う。長沢の許可を得て飼うことにした子犬に、樹とつぐみは「チャコ」という名前をつける。

 そんなある日、つぐみは、樹をある場所へ連れて行く。「美術展」と偽って連れて行ったのは、車椅子バスケの練習場だった。高校時代、バスケ部のキャプテンであった樹は、事故の後、頑なにバスケから距離を置いていたのだ。そこで車椅子バスケをやっていた晴人に説得され、気後れしながらもボールを持った樹。コートの中で、彼は昔の感覚を思い出す。

 好きだったものが、何かの理由でできなくなった時、それを見るのも嫌にやる感覚は私にもわかる。レベルは違うかもしれないが、受験で志望校に落ちた後、合格してそこに通いだした友人が妬ましくてたまらなかった。「もしかしたら自分がそうなっていたかもしれない」そんな悔しさが、湧き上がってくるのだ。

 実際にコートに出た樹は、そのこだわりを乗り越え、楽しさを見出す。

 バスケを楽しんで、家に帰った樹を待っていたのは母・文乃(麻生祐未)だった。つぐみと会った文乃は、「感じのいい子」と喜びを隠せない。しかし、そんな文乃に樹は、「恋愛は一生しない。そのことは諦めてほしい」と告げるのだった。

 昨年、『黄昏流星群』(フジテレビ系)で、息子を溺愛する母親を演じたのが印象強い麻生だが、今回は明るく、理解のある母親役だ。樹とつぐみの関係にも味方になってくれることだろう。

 一方、つぐみの自宅には、父親の元久(松重豊)が突然訪ねてきていた。対応した妹のしおり(岡崎紗絵)と幼馴染みの是枝(瀬戸康史)だったが、つぐみを心配する元久に気圧されっぱなしであった。

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