平成終了まであとわずか! 号外研究家が「改元号外」を読み比べてみた
#勝手にしらべ隊
5月1日、ついに新しい時代が幕を開ける。
さかのぼること約1カ月前、新元号が発表されるや否や、主要駅では号外を求める人が殺到し、周辺は一時パニックになるなど、お祭り騒ぎとなった。
しかし、ここまでネット社会となった現代で、オールドメディアである新聞の号外に注目が集まるのは少し不思議な光景でもある。
そこで、『マツコの知らない世界』(TBS系)への出演でも話題を呼んだ号外研究家・小林宗之氏に、今回の改元号外を読み比べてもらった。
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――今回は何紙、入手されたんですか?
小林 4月20日現在で集まっているのは50紙以上、まだもう少し入ってくる予定なので、最終的には60紙後半~70紙くらいになる見通しです。新聞社から直接送ってもらったり、人から譲ってもらったりして集めました。私は当日、JR大阪駅へ取りに行ったのですが、ここまでの盛り上がりは私の経験では初めてですね。
――70紙! 各紙に違いはありましたか?
小林 内容や文面に、それほど大きな違いはないですね。「新元号が『令和』」であること、「出典が万葉集」であること、「『大化』から数えて248番目」など、元号や皇室にまつわる小ネタで占められている感じですね。
変わったところでは、1面に菅官房長官ではなく皇太子夫妻の写真を用いたところ(神奈川新聞)や、「額を掲げる菅官房長官」ではなく「額だけ」を載せたところ(福島民友新聞)、通常の紙面の2倍サイズの号外を出したところ(福島民報)などもあるほか、元号発表に際しての地元の声を号外紙面に盛り込んだ社(新潟日報)もありますね。平成の歩みを過去の紙面でたどった社(北海道新聞や中日新聞)も。
中日は4月1日街頭配布とは別に2日付の号外を印刷、2日の朝刊に折り込んで読者へ配達しました。同様に、1日付号外を翌日の朝刊に折り込んで配達した地方紙が、いくつかあったようです。
――メルカリなどでは一時3,000~5,000円の高値で出品されていましたが、やはりコレクターにとって、改元号外は貴重なのでしょうか?
小林 「出品される」と「売れた」は話が別なのと、高かったのは最初だけで、今は一部を除いてだいぶ落ち着いた印象ですが、コレクターというよりは、“記念に欲しい”という人が多かった気がします。そのくらいの値段だったら、私なら買わないですけどね(笑)。ちなみに今回の号外でいえば、おそらく全紙合わせて数百万枚は出たと思われるので(後の報道によれば、読売だけで103万枚出したらしい)、現段階ではそこまで貴重なものとはいえませんね。
――平成改元時の号外はお持ちですか?
小林 当時は5歳になるちょっと前だったので、リアルの記憶はありません。平成号外は後になってから人に譲ってもらったりして集めました。同日の「天皇崩御」の号外は50紙以上持っていますが、「平成」は4~5紙ほどになります。
――平成号外と令和号外に違いはありますか?
小林 明治以降、これまでの改元というのは、天皇の代替わりという点では同じかもしれませんが、これまでは前の天皇の崩御とセットだったわけで、良い悪いは別にして、お祭り騒ぎになるというのは、今回が初めてではないでしょうか。各社とも紙面のビジュアル(見た目)に力を入れているのかなあ、という印象は受けます。カラー刷りというのは、平成改元時にはほぼなかったように思います。
――これだけネット社会になっても、号外が求められる理由はなんだと思いますか?
小林 「紙」であることで後々まで残る(残せる)、それに関連して、「記念に」という方が少なくないのではないでしょうか。
――最後に、号外の保存方法と、今後のコレクター的楽しみ方を教えてください。
小林 個人では、図書館みたいなしっかりした温度湿度管理――なんてことはできませんので、ファイルに入れるなり段ボール箱に入れるなりして保管しています。大活字の紙面ということで良くも悪くもインパクトがありますから、細かく読み込むのもよし、見て面白い、そういうものだと思います。
(取材・文=編集部)
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