『あなたの番です。』秋元康ドラマで蘇るHuluの悪夢!
4月14日にスタートした日本テレビ系日曜ドラマ『あなたの番です。』は、日テレの連続ドラマとしては25年ぶりの2クール(半年)放送が予定されているが、果たして大丈夫なのか。初回の平均視聴率は8.3%(ビデオリサーチ、関東地区調べ)。幸先いいスタートとは言い難い数字だ。何より、せっかくうまく築きつつあった同枠のブランドイメージと、若い視聴者層を手放してしまいそうな気配がある。
日テレ日曜枠といえば、前クールで菅田将暉主演の『3年A組―今から皆さんは、人質です―』が大反響のうちに幕を閉じた。最終回視聴率は15.4%(同)で、前クールの各局ドラマで最も高い評価を得たドラマといえる。さらに昨年秋クール放送の『今日から俺は!!』も小学生の人気を集め、最終回視聴率12.6%(同)。2作品とも、小中高生含む若者の支持を得ていたという特徴がある。
一方で、『あなたの番です。』はまったくテイストの異なる作品だ。舞台となるのは、新婚夫婦・手塚菜奈(原田知世)と翔太(田中圭)が引っ越してきたマンション「キウンクエ蔵前」。マンションの住人たちの間で「交換殺人」が発生する、ミステリードラマだ。管理人の提案で、住民たちは紙にそれぞれの「死んでほしい人間」を書き、くじを引く。ありえない設定だが、半年間で住人たちが次々死んでいくのだろうか。キャッチコピーは、「毎週、死にます」だ。初回のラストでは、管理人がトラウマ級の転落死を遂げた。
放送は日曜夜10時半から。多くの人にとって明日からまた1週間が始まる……という時間、毎週のように住民が謎の死を遂げるマンションにどれだけ興味を引きつけることができるのだろう。
『3年A組』も生徒が人質になり殺されるなど過激な描写はあったが、それらにはきちんと意味があるのだと、視聴者が理解できるような流れができていた。視聴者は菅田将暉演じる主人公の目的を知りたくて視聴を続けた。『あなたの番です。』も、視聴者が「続きが気になる」と思えるだけの意味や伏線を用意しているのだろうか。
『あなたの番です。』の企画・原案を手がけているのは秋元康氏。秋元氏といえば、2017年夏クールに日テレ日曜枠で放送された『愛してたって秘密はある。』でも、企画・原案を担当していた。『愛してたって秘密はある。』は、テレビ放送の最終回では完結せず、結末は有料動画サイト「Hulu」で明かされるという手法が用いられ、批判を呼んだ。
『あなたの番です。』も、本編と連動する形でhuluオリジナルストーリー「扉の向こう」が放送される予定となっており、マンション住民たちの素顔や事情が明かされていくという。「Hulu」見逃し配信も行われる「Hulu」は視聴者にとって便利なツールでもあるが、地上波放送の連続ドラマなのに「Huluで完結」「Hulu限定」という流れに不快感を抱く視聴者も現状では少なくない。
『今日から俺は!!』『3年A組―今から皆さんは、人質です―』と、若者に指示を受ける作品で支持を得て、よい流れができていた日テレ日曜枠。『あなたの番です。』は半年放送に耐えうるコンテンツとなるのだろうか。
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