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コミック『失恋めし』刊行記念インタビュー

【試し読みあり】関西の人気飲食店が59店登場! 失恋×グルメで読ませる新たなグルメコミックガイド

その土地の“特性”が物語にも

 関西というと、大阪、京都、兵庫、奈良と、それぞれの県民性の違いが面白おかしく取り上げられることも少なくない。これだけの店舗数を取材すると、飲食店にも、地域性を感じることはあったのだろうか。

「改めて読み返してみて気づいたことですけが、例えば大阪は商店街や繁華街など、賑やかな場所にあるお店を多く紹介していて、どこも安くて美味しくて気取ってなかった。京都や奈良はやっぱり和食が多くて、上賀茂神社の横にある今井食堂サバ煮だったり、龍安寺・西源院の湯豆腐だったり、清水寺の冷やし飴だったり、神社仏閣やその土地に所縁のあるお店が多く登場しました。それから神戸は独特な食文化があって、外国と日本の食のミックスが面白かったです。

 そういう背景に引っ張られた部分もあったのか、大阪は下町的な人情話が多くなったし、失恋してもタダでは起きない主人公が多くなりました。京都奈良は神社仏閣や土地にちなんだ話が中心だったし、神戸はその非日常的な感じがにじみ出るようなひねった話が出てきたかなあと」

 そんな関西の文化やさまざまな世代の恋模様を描いた本作について、木丸さんは改めて、「恋愛をしたことがあって、食べることが好きな人ならぜひ手にとってもらえたら」と話す。

「同棲して別れた彼氏より、一緒に飼っていたペットが恋しい! とか、自分はいつも人の失恋話を聞くばっかりだとか、好きになる男が筋肉バカだったり、音楽とか芸術とか趣味に走って『私、あんたの人生に関係ないやん!』ってツッコミたくなるような人を好きになってしまったりとか、とにかく、いろんな方向から失恋の話を切り取ったつもりです。

 同時に、関西に住んでいる人なら、知ってるお店が舞台になっていて楽しんでもらえるでしょうし、そうじゃない方も、グルメガイドとしても面白く読んでいただけるんじゃないかと思います。私自身は失恋したら甘い物に走っちゃうんですけど、この取材を通して、そうじゃないお店もたくさん開拓することができました。お店と料理の雰囲気が伝わるように描いたので、ぜひ、ショートストーリーとあわせて楽しんでください」

 GWに関西旅行を予定している人は、同書を片手に、その店で起こっているかもしれないさまざまな人間模様に思いを馳せながら、旅してみてはいかがだろうか?

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■著者プロフィール

●木丸みさき
大阪生まれの大阪育ち、京都府在住。大阪の某大衆演劇場スタッフとして働いた経験をもとに、劇場で出会った役者やお客さんたちとの交流を描いた「わたしの舞台は舞台裏 大衆演劇裏方日記」でマンガ家デビュー。同作は、第23回コミックエッセイプチ大賞で「書店員賞」を受賞。

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『失恋めし 失恋めし 京都・奈良・大阪・神戸編』(KADOKAWA/1,188円)

 恋が終わった時、あの人を忘れさせてくれたもの、元気をくれたもの、あの味だった! 失恋をテーマに、1つの恋が終わった女性が街で初めて出会う店の味、友人に連れられて食べた懐かしの味など、おいしい食べ物を通じて元気をもらっていく1話完結の失恋×グルメコミック。登場するのは、

・  京都「西源院(龍安寺内)」/心を穏やかにしてくれる精進料理の湯豆腐

・  大阪「美味卯」/「好きなブランド卵で食べる優しい卵かけご飯

・  京都「メゾン・ド・フルージュ」/一年中イチゴが食べられるイチゴ専門店の「イチゴミルフィーユ」

 など、京都・奈良、大阪、兵庫・神戸に実在する59店。

 

最終更新:2019/04/20 21:00
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