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“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士が見たピエール瀧出演作『麻雀放浪記2020』

「斎藤工はしょっぱい」

キング・オブ・アウトロー瓜田純士が見たピエール瀧出演作『麻雀放浪記2020』の画像2

――この作品は、斎藤工が10年間構想を温めていたものらしいですね。

純士 斎藤工はしょっぱいからなぁ……。

――しょっぱい、とは?

純士 しょっぱいじゃないですか。クセというか生き方がにじみ出てないから、オーラがないというか全部が軽い。そんな彼がコメディをやっても面白くはなりづらいですよ。

――斎藤工はテレビでお笑い芸人と度々コラボをするなど、いろいろなことに挑戦していますが。

純士 彼のこと、好きなんですよ。根性あるし。ただ、それでコメディ映画が面白くなるかどうかは別なんで。一人間としては好感を持ってるけど、演じることに関してはやっぱ、ピエール瀧の方が魅力的。ちょっと可哀想なんだけど、ルックス先行で出てきた人たちの性(さが)で、何をしても軽いんですよ。役者って、生き方や経験で味が出てくるものだと思うんだけど、斎藤工はまだまだ味が薄い。

――フンドシ姿で頑張っていましたが。

純士 福山雅治にも同じことを感じるんだけど、「イケメンが下品なことをするのが格好いい」という世界観って、ダサいんですよ。せっかくモデル体型で格好いいんだから、そんな柄にもないことをせずに、イケメンキャラでいればいいのにって思う。

麗子 痛いねん、見てて。

純士 彼が、阿佐田哲也の『麻雀放浪記』やコメディを好きなのはわかる。でも「俺はなんでもできる」というのは、ファンが求めてない気がする。そういうのは得意な人がやればいい。竹中直人だけがシモに徹してりゃよかったんですよ。

――本作の竹中直人はどうでしたか?

純士 竹中はクセがありすぎて昔から苦手だったけど、この映画を見て好きになりました。彼はいつも「クセがあるアピール」がすごいんですよ。本当に味があってうまいのは香川照之であって、竹中じゃない。竹中までいくと、ただの変な人なんですよ。でも今回はよかった。荒唐無稽な作品の世界観に合ってたからかな。

麗子 ウチも竹中直人の頑張って変なことしてる感が今まであんま好きちゃうかったけど、今日のはちょっと見やすかった。ただ、オナラ連発とかは誰も求めてないし、おもんないどころか汚くて生理的に無理やから、ない方がよかったと思う。

純士 一番よかった役者は、ヒロインのドテ子を演じた子(チャラン・ポ・ランタン「もも」)かもしれない。いい塩梅なんですよ、スタイルや顔の垢抜けなさが。オンライン麻雀に没頭する斎藤工から、タブレットを取り上げるシーンとか可愛かったじゃないですか。サセ子の私なんかどうせダメでしょと思いつつ、斎藤工のことをどんどん好きになっちゃう様子にリアリティがありました。

――AI搭載のアンドロイド役を演じたベッキーはどうだったでしょう?

純士 話題性重視のキャスティングでしょうけど、アンドロイドを演じるのは年齢的に無理があった気がします。

麗子 ほうれい線とか生活感が出てて、アンドロイドっぽくなかったもんな。芝居はうまいし、よかったけど。

純士 まあでもこの映画は、近未来のリアリティはハナから追求してないと思う。2020年つったら来年の話なのに、セグウェイでオフィスを走り回ったりしてるやりすぎな感じは、明らかに意図的なギャグでしょう。

 近未来なのに子どもたちが路地裏でチンチロリンをしてる感じや、警察が制圧にくるあの感じは、園子温監督の『TOKYO TRIBE』の世界観にも近かったですね。それをよしとするか否とするかは、好き嫌いでしょう。僕個人の感想を言うと、昭和テイストの犯罪ものやヤクザものを撮らせたら天下一品の白石監督も、ことコメディになると、古い人が無理して若ぶってる感が出ちゃってる気がした。でも、『TOKYO TRIBE』よりはよかったです。一応、笑いもあったし。

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