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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 片想いと失恋をめぐる考察
ミワリョウスケの「未来はいつも分からない」

『ラジコフェス』『ソフィ・カル』『ハチクロ』~片想いと失恋をめぐる考察~

『ハチクロ』の名台詞

 羽海野チカの『ハチミツとクローバー』最終話に、こんなセリフがある。

実らなかった恋に意味はあるのかって

消えてしまったものは初めから無かったものと同じなのかって

 恋に限らず、あらゆる物事への祈りや願いが叶わなかった時、私たちはそれまでのすべてが意味のないことなのではないかと思ってしまう。とりわけ、恋に関してはなおさらだ。ラジコフェスでの男性による片想いも、きっと叶うことはないだろう。けれども、太田さんが言った「俺はいつまでもうじうじしてろって思うよ。それが後にいい経験になるよ」の言葉を思い出してほしい。ソフィ・カルは、成就することのなかった恋を元に作品を作り上げ、芸術として昇華している。叶わなかった恋も、形を変え、それを見る人の心を動かす何かになる。

 先ほど挙げたセリフの続きはこうだ。

今ならわかる

意味はある

あったんだよここに

 これは、かつてそこに在った愛の肯定だ。ラジコフェスで読まれたきっと叶わない片想いは、消えることなく電波に乗って今も存在し続ける。そして時々形を変えて、誰かの元へ届いたりもする。実際に、私はこうして文章を書くことができている。片想いのメールを聴いて思い出した、初めて読まれた6年前の私の思いも、どこかを漂い続けているのだろう。そして、知らない誰かの元へ届いているのかもしれない。

●ミワリョウスケ

1994年生まれ。生活のこと、面白かった映画や演劇、ラジオなどについてブログを書いている。日記をまとめた本の販売も行っている。好きな食べ物はうなぎ。<http://miwa0524.hatenablog.com/

最終更新:2019/04/17 21:00
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