話題の配信ドラマ『夫のちんぽが入らない』主演・石橋菜津美に漂う“暗い色気”
#女優の花道
あの月9にも出演していた!
『ゾンみつ』はタイトルの通り、とある地方都市でゾンビが大発生した姿を描いたパニックホラーで、NHKの深夜ドラマでゾンビドラマが作られるという意外な組み合わせが反響を呼んだ。内容も斬新で、ゾンビが発生したことでコンビニに閉じ込められた地方在住の女性たちの鬱屈した感情に焦点が当てられている。
石橋が演じたのはタウン誌のライター・小池みずほ。親友と不倫している夫から離婚を迫られているという、しょっぱい役だ。『おとちん』の久美子同様、地方在住の生真面目すぎてパッとしない女という、石橋にしか演じられない、いじらしい存在だった。
それにしても、『ゾンみつ』と『おとちん』を見た後で彼女の経歴を振り返ると、あの作品にもこの作品にも出ていたのか! と驚かされる。
中でも驚いたのは、月9で放送されていた『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ系)に出演していたことだ。
本作は三浦春馬が演じる結婚間近の男性教師を主人公とした学園ドラマなのだが、いま見ると生徒役が実に豪華である。
ヒロインを演じた武井咲はもちろんのこと、ショートカットで颯爽と登場した剛力彩芽が注目されるきっかけとなった作品として有名だが、菅田将暉、石橋杏奈、広瀬アリス、中島健人、能年玲奈(現・のん)、伊藤沙莉、岡山天音など、後にブレークした俳優が生徒役に多数存在する。
石橋は(現時点における)最後発の『大切』組ブレーク女優だが、あらためて思うのは、人気が爆発するタイミングは誰にもわからないということだ。
生徒役ではその他大勢の中に埋もれていた女優が、社会人役を演じられる年齢になると急に魅力を開花させるということも多い。これはルックスや演技力といった個人の問題ではなく、ハマり役といつ出会えるか? というタイミングの問題で、あきらめずに続けることがいかに大事かということがよくわかる。
ちなみにこの時、石橋が演じたのは、クラスメイトの恋人と家でセックスしていたことが問題になる真面目な女子生徒役。この頃から、性の問題で思い悩む役を演じていたようだ。
いつも自信なさげで華やかさに欠けるが、暗い色気の見え隠れする地方在住の真面目な女性を演じさせたら、今の石橋は最強である。26歳にしてつかんだ当たり役だといえよう。
●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。
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