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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『きのう何食べた?』再現度に脱帽

『きのう何食べた?』内野聖陽の再現度に脱帽! 前評判覆し、感動レベルに

テレビ東京

 4月5日より、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)がスタートした。2007年より「モーニング」(講談社)で連載している人気漫画のドラマ化である。

 街の小さな法律事務所で働く弁護士・筧史朗(以下「シロさん」)と美容師の矢吹賢二(以下「ケンジ」)は同棲中の同性カップルで、シロさんの日課は事務所を定時に出た後、近所の安売りスーパーへ向かうこと。頭の中で瞬時に夕食の献立を組み立てる彼にとって、月の食費を2万5,000円以内に抑えることは重要課題だ。

内野聖陽が想像以上にケンジそのもの

 漫画の実写化となると、成功の鍵の8割はキャスティングにかかっている。正直、心配していたのはケンジに関してだった。内野聖陽が演じると知ったとき、ちょっと違う気がしたのだ。何しろ、『JIN-仁-』(TBS系)で坂本龍馬を演じたあの人である。男臭いイメージが強すぎる。

 いやいやいや! 漫画を読み、頭の中で想像していたケンジがそこにはいた。まさに、ケンジ。そのまんま、ケンジ。ふとした所作や表情が“動くケンジ”だった。内野の中にケンジがいた。この配役って、ひとつの正解じゃないだろうか? 原作ファンからすると感動のレベルだったと思う。気が早いが、ドラマが最終話を迎える頃には、内野のファンはすごく増えている気がする。

 初回で最も印象的なのはオープニングだった。ケンジが料理中のシロさんをスマホで撮影しているというテイの映像。料理を作るイケメン彼氏を愛おしく思うケンジ。いかにもケンジがやりそうなことだし、撮りそうな動画だった。『きのう何食べた?』には、ストレートな性描写は出てこない。でも、だからこそ、逆にエロい。ケンジのスマホ撮影で始まるオープニングは、絶妙な演出だったと思う。

 一方、シロさんを演じるのは西島秀俊だ。ネット上ではさまざまな意見(賛否どちらもあり)が飛び交っているようだが、なんだかんだ、ビジュアル的にこの人は適任だと思う。基本、テンションが低いシロさんだけに(特に初期のシロさんは、かなり性格がキツい)、抑揚のない西島のセリフ回しはマッチしている。何より、以前から西島は『きのう何食べた?』の読者だったそうだ。

 原作ファンならご存じだと思うが、シロさんは次第に優しくなっていく。話が進むにつれ、彼の良さはドンドン出てくる。不器用なシロさんが見せるケンジへの愛情表現は、見どころのひとつである。

 いや、すでに初回で、シロさんの隠れた優しさは垣間見られた。ケンジがコンビニでハーゲンダッツを通常価格で購入し、無駄遣いを嫌うシロさんが叱ったくだりである。スーパーならハーゲンダッツが2割引で買えることを知るシロさんは、ケンジを叱った。

シロさん「朝と晩の食費を月2万5,000円に抑えるのが俺の最重要課題なんだぞ。……(レシートを見て)高っ!」

ケンジ「(レシートを奪って)いいよ、自分で払うから」

シロさん「(レシートを奪い返し)いいよ、貸せ! お前は貯金しろ!」

 シロさんはケンジからレシートをぶん取り、それを引き出しにしまった。引き出しには「賢二立て替え分」なるラベルが貼ってある。なんだかんだ、シロさんから愛情が窺えるのだ。

 これは、原作にはなかったくだりである。オリジナルの秀逸な描写を生み出したドラマスタッフを評価したい。今回の実写化はうまくいきそうだ。

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