足りないピースを追い続けた14年間の集大成~『9nine one man live 2019 Forever 9nine』レポート~【後編】
#プレヤード #アイドル深夜徘徊 #9nine
西脇の掛け声で、会場が一つに
5曲ほどメドレーでパフォーマンスした後、ドラマ『リーガルハイ』(フジテレビ系)の主題歌にもなったヒット曲「Re:」で会場を沸かせた。「何度でもチャレンジしていきたい」そんな歌詞に込められた思いは、これまでの9nineの歩みを象徴しているようにも思えたし、これからの彼女たちの姿勢であるようにも感じた。
MCでは、今回のメドレーでの振り付けは、リニューアル後初の曲「Cross Over」を担当した先生が、数年ぶりにつけてくれたものだと話し、感慨深げであった。
「Party9」、そしてその「Cross Over」。この曲を聴いた頃、9nineに対して複雑な思いを抱いていたことを思い出す。でも今は、4人を素直に応援したい気持ちだ。それは、たとえメンバーが変わっても、前に進もうという気持ちは変わらずにあってくれたからだろう。
西脇の「ファン9のみなさん! ここからは私達と一つになっていきましょう!」という掛け声により、「Wonderful World」。サビの手を振る振り付けに合わせ、会場中の人が手を振る。吉井の「ここからは一緒に歌いましょう」との言葉で、ファンが一緒に歌い始め、会場中が大合唱に包まれる。
そして、「1.2.3.4.5.6.8.ナイン!」の掛け声で始まったのが、「SHINING☆STAR」。先ほどとは色を変えたミラーボールが会場を照らしていた。そして、本編ラストの曲「Evolution No.9」。こちらもドラマの主題歌に使われたヒット曲。会場からは、活動休止を惜しむかのように力強い手拍子が湧き上がる。曲のラストでは、会場に紙テープが噴射され、大きな盛り上がりの中、メンバーたちが手を振ってそでにはけていった。
合言葉は「Forever 9nine」
もちろんアンコール。しかし、普通のアンコールとは違った。会場には「SHINING☆STAR」のサビの部分の大合唱が響いたのだ。こんなアンコールは初めてだが、悪くない。しばらく合唱が続いたあと、メンバーが上着をTシャツに着替え登場した。
アンコール1曲目の「Fly」を歌い終わると、メンバーもリラックスした表情で話し始める。次の曲では、グッズのライトを使って会場も一緒にふりをしてもらいたいとのこと。ボタンを押す毎に色が変わるライトを操りながら、「SMILE&TEARS」。笑顔の中、終わりの時が近づきつつある。
続く「流星のくちづけ」では、再びメンバーが会場に降りて、サインボールを客席に投げる。曲が終わり、客席も入れた記念撮影をしたあと、メンバーそれぞれから最後の挨拶。
吉井は「3歳からダンスを始め、オーディションも受けまくって、やっと出会ったのが9nineだった。3人が一緒だったから今日まで強く強く生きてこられた。ありがとう」とメンバーに感謝の思いを語る。
村田は、「『活動休止ってなんやねん!』と思ったけど、決断したのは私たち。本気でこれからも9nineのために生きていこうと思った。みなさんのおかげです」と話した。
佐武は、「芸能界に入って、最初の仕事が9nineだった。それまでは夢がなかったけど、みんなでいろんな景色を見るのが夢になった。これからどんな形になっても、9nineとして生きていきます」とコメント。
最後に西脇が「出会って一つの空間を作った宝物がファン9だった。活動休止については、メンバーの中にもいろいろな思いがあった。今までは手をつないで輪になっていたものが、一列に並んで踏み出すように、ちょっと形を変えるだけだと思っている。だから心配しなくて大丈夫」と話しながらも、時折涙声になる。「今日は最後まで見守ってくれてありがとう」。そう締めくくった時、村田からお知らせが入る。今日のライブが、今年の9月9日にBlu-rayで発売になるという。「みんなで一緒に見よう!」そんな言葉も飛び出しながら、次の曲へ。
アンコール4曲目は、メンバーの自己紹介ソング「9nine o’clock」。かつては、川島海荷のパートも入っていたが、彼女の脱退後は4人のものに歌詞を変えているナンバーだ。曲が終わると、メンバーがステージにあった花を手にする。そう、1曲目で手に持っていたものだ。それを手にして、「好き、嫌い、好き、嫌い……」と花びら占いを始める。そして、最後にみんなで会場に向かって叫ぶ。「大好きー!」
そのままラストの曲「colorful」へ。「何が起こっても 絶対大丈夫だから」――メンバーが自分自身に、そして会場のファンに向けて言い聞かせるような歌詞。ステージ上では、新たな旅立ちをするメンバーの上に、花びらのような紙吹雪が舞ってくる。
歌い終えると、メンバー全員の肉声で「9nineは永遠だよ!」と挨拶。会場の拍手は、鳴り止むことがなかった。
終了後、会場で配られた、Blu-ray発売を知らせるポストカードの裏には、「NEVER BREAK UP」と書かれていた。これで終わりではない、まだまだ、それぞれの中にある9nineは続いていくという決意表明でもあろう。
こうして、9nineは、14年の活動の歩みを止めた。
アイドルというものが、“何かになるための過程を見せるもの”だとすれば、9nineは、その名の通りあと1つ足りないピースを追い続けた、まさにアイドルだったと言えよう。
これからは、4人それぞれが、なりたい自分に向かって、残りのピースを探していくことになるのだ。恐れることはない、メンバーも、ファンも、9nineの魂は受け継がれていく。どのような道になろうとも、きっとその歩みを見届けてくれるはずだ。それが、メンバー4人と、ファンである私達との約束なのだから。
(文=プレヤード)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事