足りないピースを追い続けた14年間の集大成~『9nine one man live 2019 Forever 9nine』レポート~【前編】
#プレヤード #アイドル深夜徘徊 #9nine
脱退、加入を繰り返し……
10年、大きな転機を迎える。メンバーの下垣と三浦萌が脱退、代わりにオーディションで選ばれた吉井香奈恵と村田寛奈が加入する。「パフォーマンスガールズユニット」を名乗り、レコード会社も移籍、ライブではハンドマイクではなくヘッドセットをつけて歌い踊るという、全く新しい基軸を生み出したのだ。
ファンの反応はさまざまだった。脱退した下垣や三浦のファンであり、そこから離れていく者や、これまでよりもスタイリッシュでダンサブルなパフォーマンスに乗り切れない人もいた。私も正直、この頃の9nineについては、複雑な思いで見ていた。
ここで一つの力になったのは、川島のさらなるブレイクだろう。時を同じくして、映画『私の優しくない先輩』(2010)に主演、深夜ドラマ『ヘブンズ・フラワー』(TBS系)でも主演するなど、女優として多くのファンを獲得していったのだ。私の周りでも、川島きっかけで9nineのライブに足を運ぶようになったという人も確かにいる。
こうして、新たな体制となった9nineは、方向性を定め、前に進み始めたのである。もちろん、ライブパフォーマンスも磨いていたが、その一方で、それぞれのキャラクターを活かしたバラエティなどでも楽しませてくれた。ラジオ番組『オールナイトニッポンR』(ニッポン放送)や、12年に放送されたドラマ『こんなのアイドルじゃナイン!?』(日本テレビ系)などで、彼女たちの素に近い部分を知ることもできた。
精力的にライブや新曲のリリースを続け、14年には武道館公演も開催した。順調に目指すべきものに近づいたと思われたが、16年、彼女たちはまた一つのピースを失うこととなる。エース的な存在であった川島の脱退だ。
もちろんファンにとっても大きな出来事であったが、メンバー自身、4人体制になるということに不安はあったようだ。また一つ、空いた穴を埋める作業を始めることになったのだから。
それでも、彼女たちは諦めることはなかった。ライブ活動を続けるとともに、同じ事務所のベイビーレイズJAPANとの共演で、『浅草ベビ9』(テレビ東京系)というバラエティ番組も始まる。番組は楽しいものだった。4人体制になってからも、彼女たちの上昇志向は変わることなく、常に前を向き続けた。
その頃、メンバー個人の仕事も増え続けてきた。西脇は、姉である、Perfumeの西脇綾香とともにラジオを始め、佐武はアニメの声優をやるようになった。
そんな迷いの中、今年の2月、9nineが活動休止に入ることが発表。
「活動休止」という言葉に、ファンは戸惑った。“解散”ではない。あくまでも音楽活動を休止することだ。
その思いについて、ネット配信番組などでは語られてきたが、休止前、メンバーはどんなステージを見せ、どんな言葉をファンに直接話すのか。それを聞くために、活動休止前最後となるライブ会場に向かった。
*後編へつづく
(文=プレヤード)
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