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【wezzy】

就職しないで大学卒業したら、人生は詰むか?~新卒で就職できなかった!!座談会

 春――今年も、新卒の就職戦線が火蓋を切った。世の就活生が最も恐れているのは、「内定を得られないまま卒業」という“最悪”の状況ではないだろうか。

 しかし、就職先が決まらずに大学を卒業してしまったら、本当にその瞬間から落伍者として生きていかざるを得ないのか。ハタチそこそこにして「人生終了」の烙印を押されてしまうのか――?

 いやいや、落ち込むことなかれ。就職せずに大学を卒業したが、どっこい元気にたくましく生きている人たちは、たしかに存在する。新卒でなくとも就職は可能だし、人生は絶対に詰まない。当事者たちは、意外と楽しそうである。

座談会メンバー
・ワタミ(男性)28歳/東京出身/上場を目指すITベンチャー企業勤務(マーケティング)/年収400万円台
・にゃんちゅう(女性)27歳/岩手出身/外資系学習塾勤務(講師)/年収400万円台
・加藤(女性)25歳/北海道出身/2017年3月に卒業/ウェブサイト運営会社勤務(アルバイトでライター業)/年収200万円台
・上田(男性)27歳/東京出身/2015年3月に卒業/電子書籍出版社勤務(営業)/年収300万円台

意外となんとかなる! 既卒フリーターの就活、その後……
――本日はお集まりいただきありがとうございます。さっそくですが、皆さんは当時、就職活動はしていたのでしょうか?

上田 「就活はしてました。じつは、内定も決まってたけど、卒業式の当日に辞退したんです。もともと、卒業ギリギリに決まって不本意な会社で。

 いちおう、現役の就活生のときはちゃんと行きたい業界があって、OB訪問もしたし説明会ではめっちゃ挙手して社員に質問しまくるとか、バリバリやってました。でも、志望の会社に落ちた途端、やる気がゼロになって。その後は適当に選考を受けてました。
でもあのやる気ゼロの状態で入社したとしても、会社にとっても良くなかっただろうしら、今考えても入社しなくて正解!」

ワタミ 「俺も、就活はそれなりにしてたけど、面接が苦手で落ちまくって。就活はスッパリ辞めて、『漫画家になる!』と決めて、大学4年の12月に新しいバイト先を紹介してもらって。卒業後は漫画を描きながらフリーター生活に突入しました」

にゃんちゅう 「私は卒業してから、アメリカに語学留学に行きました。就活もスタートダッシュの段階ではそこそこしてみたけど、就活システムに違和感があったし、やっぱり自分はまだ勉強を続けたいなって思って。4年生の10月頃には留学することを決めて、そこから英語の猛勉強を始めました」

加藤 「根がマジメなので、就活は結構ちゃんとやってました。15社くらいは受けてたと思います。でも、私はとにかく働きたくないって気持ちが強くて……とにかく譲れない条件が『年間休日120日以上、残業ナシ』だったんですけど、行きたいと思える企業が全然なくて……就活は諦めました」

――ところが今は皆さん、普通に働いてらっしゃいますよね。新卒一括採用ではなく、中途で採用試験を受けられたんですか?

 

楽しい懇談中のようす
上田 「卒業後は、4月から9月まで8カ月間フリーターをしつつ就職支援会社で研修を受けて、1社目の文房具用品メーカーに入社……したものの、ここでも全然やる気が出なくて。やっぱり好きなことを仕事にしたいと思って、未経験でも採用してくれる編集プロダクションに転職しました。その後また転職して、今は出版社で電子書籍担当の営業をしてます」

ワタミ 「俺は結局、卒業後のフリーター期間は2カ月くらいかな。ハローワークで見つけた中堅出版社の広告営業に中途採用枠で受かって、6月には社会人デビュー。

 ちなみに、第二新卒枠じゃなくて中途枠の採用だったから、研修もなくて、最初はかなり苦戦しました。3カ月後くらいにやっと営業が取れて、その時は嬉しかった(笑)。今は転職して、上場を目指しているITベンチャー企業で働いてます」

 

――既卒フリーターからの就活は、すんなり採用が決まったんですか?

ワタミ 「意外と、すんなり。俺の場合は、現役就活生の頃はとにかく周りの人と比べまくっちゃって、『俺にはアピールできるような長所や実績はない』って思い込んでたんです。今思えば、『僕はダメなんです』ってオーラを出しまくってたから、そりゃ落ちるよなって。逆に、既卒時の面接では、『自分ってこんな人間なんです!』って開き直りつつ、自分のペースで就活できたから良かったのかも。

 やっぱり面接では、なんで就職しなかったのか質問されたから、正直に『漫画家目指してました!』って答えてた。そのわりに絵がヘタだから、入社後は恥ずかしい思いをしたけど……(笑)。でも、おかげで全国誌に自分の漫画を掲載してもらったり、ラッキーなこともあったな」

にゃんちゅう 「私は卒業後は1カ月間フリーな時間を過ごして、5月からアメリカへ。留学中はマジで勉強したし、マジで楽しかった。本当はもっといたかったけど、家庭の事情で7カ月後には帰国。その後は、とりあえず地元(岩手)に戻って、通っていた自動車学校に仕事を紹介してもらったり、塾のアルバイトをして過ごしてた。

 でもやっぱり地元から離れたくて、ほぼ家出同然で東京に出てきて職を探してみたら、1社目で採用が決まって。今は外資系の塾講師として働いてます」

――金銭面が許せばですが、卒業してから留学というルートも、全然アリですよね。

加藤 「私は新卒就職はスルーして、卒業後2カ月間くらいニートしてたんですけど、一念発起して就職コンサルのナビサイトで職を探し始めて、5月にはインフラ系の会社の事務職に就職しました。でもその職場、自分の仕事が終わっても人の仕事を手伝わないと帰れないみたいな風潮があって、すごくイヤで。通勤電車もイヤだし……。

 だから1年で辞めてまたニートに戻って、彼氏の家に居候しながら4カ月くらい遊んでたんですけど、また昨年の秋からフルタイムのアルバイトをしてます」

――加藤さんはそこまで働きたくない気持ちが強いのに、なぜ現在はアルバイトをしてるんですか?

加藤 「やっぱり収入がないのはツラくて……(笑)。あとは、依然として働きたくはないですけど、なんとなく許容範囲が見えてきたっていうか。将来的に在宅で仕事ができるようになればいいなあと考えて、今はアルバイトでライター業をしていて、経験を積んでるところです」

卒業してみたら「新卒就職できなくても大丈夫じゃん」と気づいた
――就活生は、「新卒で内定ないと人生お先真っ暗」みたいな思い込みに陥りがちなところがあると思うのですが、皆さんにはそういう焦りはありませんでしたか?

にゃんちゅう 「全然、とくになかったです。就活が解禁されて、友達がリクルートスーツを着て授業中にES書いてる姿を見ても、『なんかやってんな~』って思うくらい」

ワタミ 「僕は、卒業してフリーターやるぞってハラを決めた時は良かったんですけど、卒業したら何も身分がなくなるんだと思うと、急に不安になって……卒業式には出席しませんでした(笑)。でも、フリーター時代は大学の仲間と普通に飲みに行ったり、集まりにはよく顔を出してましたね」

上田 「ボクは浪人を経験してたので、学校とか会社とか、所属する場所がなくなっても意外と平気でした。1人暮らしでキツイ時もありましたけど、バイトもしてたし、あとおじいちゃんに借金したりして……秋田のおじいちゃんとおばあちゃん、本当に感謝してます! ……って感じでなんとかなっていたので、こうなったら自分のやりたいことを追いかけようって、逆に吹っ切れましたね。まあ、早稲田から大手メーカーの Nik●n に就職した女の子を好きになったときは、自分に自信がなくて落ち込んだりもしましたけど……」

加藤 「卒業してニートになった時は、とにかく『働かなくていいんだ! 嬉しい!! 』って感じでした(笑)。卒業したての4月は開放感がものすごくて、缶チューハイ片手にひとりでお花見したり。でも、お金がないのだけはとにかくツラくて……お金さえあれば、ずっとニートしてたかった(笑)」

にゃんちゅう 「就活生の頃は、新卒で就職以外の道が提示されることはなかったし、就職するのが当たり前って思い込む人は多いんじゃないかな。だから就活生は、何十社も受けて、どこでもいいから決まった企業に行くしかない、ってなる。卒業してから、そんな風に人生が決められているわけがないって、当たり前のことに気づいたんです。同じ境遇の人たちとも、こうして知り合えましたし(笑)」

 

「就活生だからって、全て企業の言う通りにしなくてもいい!」
――皆さん「いちおう就活はしたけれど、それぞれの事情から就活戦線を降りた」ってことですね。就活のルールに馴染めなかったという意見が多かったですが、これだけは主張したいことってありますか?

上田 「手書きのESはマジでムダ! とりあえずES書いて出さないと始まらないわけですけど、俺みたいに文字を手で書くのが苦手な人間もいるんですよ。今思えば、そんなルール無視して全部パソコンで打てば良かったって思います。それで落とすような会社は俺には合ってないってことだし、行かなくて正解だって今なら断言できる」

――企業側の提示するルールと、自分の価値観が合致すればOKですもんね。

加藤 「就活って、何十社も受けることを前提で『自分の軸を決めろ』ってよく言われると思うんですけど、自分の軸を鋭くしていくためにいらないところを削っていくのが人生だと思います。就活生だからって、何事も企業の言う通りにしなくてもいいはず」

にゃんちゅう 「でも、企業と就活生じゃ立場が違うし、当時はそうしなきゃならないって思っちゃうんだよね。あと、時間も交通費もかけて“御社”の面接会場まで行くのに、さらに控え室でめちゃくちゃ待たされるのがやってらんなかった!」

――就活って、理不尽なことは少なくありませんよね。「それが社会だ、我慢しろ」なんて決めつけられるのもおかしな話です。

加藤 「私が印象に残ってるのは、とある面接で『大学で勉強してきたことで、弊社に役立つことはありますか?』って聞かれたこと。私は自分のために大学で教養を学んだし、その会社の詳しい業務内容は入らないとわからないので、『お前のために勉強してんじゃねーよ!!』ってすっごくムカつきました。ああ、社会が文化を潰すって、こういうことなんだなーって。社会のために人があるんじゃなくて、人のために社会があるんだと思います」

――真面目な人ほど「社会や会社の役に立たなくちゃ!」と追い込まれて身を削ってしまうと思うので、冷静に自分の信念を貫くことも大切ですね。皆さん、内定なしで卒業した者として、現役就活生はもちろん、まさにこの春、内定を持たずに卒業した後輩たちへのアドバイスはありますか?

にゃんちゅう 「今の就活システムって、絶対に大学3年間で自分のやりたい仕事を見つけなきゃいけない、就職するタイミングもみんな一緒、って一律に決められているのは変だと思います。働くことは大切だけど、就職するタイミングはそれぞれでいいはず」

ワタミ 「手当たり次第何十社も受けて、面接で同じことを言って、採用された企業に行く……っていうのは、歪だよね」

上田 「僕はぶっちゃけ、大企業に入った方がいいと思う。なぜなら、大企業なら新卒を何百人、何千人って採用するからアホでも紛れ込めます」

にゃんちゅう 「でも、大手企業に入れなくても人生はなんとかなっていうのは、振り返ってみれば全然、当たり前のことだよね。私は就活しなかったことは全然後悔してないな」

上田 「たしかに、俺も最初は大手に入れなかったらモテ市場において負け組と思って落ち込んでたけど、フリーター期間中に新聞社に勤めるバリキャリのお姉さんと付き合って同棲もしたし、それで解脱した。意外と関係ない」

にゃんちゅう 「上田くんはなんかヒモ体質っぽいし、『きみはペット』(※小川彌生による名作少女漫画。新聞社勤めのバリキャリかつ容姿端麗なスミレが、突然現われた年下男子のモモと同棲するラブストーリー)とか読んで学んだらいいと思うよ」

加藤 「あんまり新卒にこだわらないで、回り道はしてもいいよって思いますけど、もし就活するなら会社のためじゃなく自分のためにやってほしいなって思います」

ワタミ 「自分のやりたいことをやってればそれが武器にもなるし、気負わないで、好きなようにやったらいいってことですね。それでもし内定が出なくても、詰まないし、死んだりしないから」

にゃんちゅう 「人生、長いもんね」

最終更新:2019/04/08 10:05
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