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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > カミナリまなぶの深すぎるコンビ愛
テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

天然キャラのまなぶが熱血漢に……カミナリの「深すぎるコンビ愛」

カミナリ・まなぶ「キミの人生はオレの人生だし、オレの人生はキミの人生なんだよ」

 テーブルを挟んで正対するカミナリの2人。占い師に傾倒して「夢門」になろうとしているたくみ(ドッキリの仕掛け人)に対し、まなぶ(ドッキリのターゲット)は最初から「頭おかしいじゃん」と全面否定の姿勢を示す。しかし、たくみは占い師の能力をさらにアピールし始める。

たくみ「これ(数珠)とかさ、先生からもらって1週間だよ。1週間でこんなおっきい(レギュラー番組の)話来たからさ」

まなぶ「違いますよ、それは。キミの努力だから」

たくみ「でも、何もだってしてないし、努力っつうか、ただ……」

まなぶ「いや、してるしてる」

たくみ「ただ普通に生きてただけで……」

まなぶ「してる、してる。芸人って気づきづらいのよ、努力に」

たくみ「そうか?」

まなぶ「そうそうそう。こんなんで決まりません。何度も言うけどオマエの努力なの」

 たくみの目を見て、たくみの言葉を封じるかのように矢継ぎ早に、まなぶは繰り返し説く。キミは努力しているんだ。キミは努力してきたんだ。気づいていないだけなんだ。そんなまなぶの姿をVTRで見ていた浜田が、ツッコミを入れる。

「こいつが(占いの)先生みたいになってるやん」

 松本も「洗脳しようとしてるんちゃう?」と呼応し、笑いを誘う。怪しい占い師の洗脳から相手を解こうとする側が、洗脳しているように見えてしまうという逆説。あるいは、信頼と信仰を区別することの難しさ。まなぶはたくみを幼なじみかつ相方として信頼してきた。しかし、そのたくみが信仰の側に取り込まれようとしている。「夢門」になろうとしている。2人の間の信頼をこれから先にもつなぐために、信仰の側にいるたくみに届く言葉を、まなぶは重ねようとする。こちら側に取り返そうとする。しかしその姿は、別の信仰に取り込もうとしているように傍からは見えてしまう――。

 なるほど、高田純次がニーチェに抗して言うように、怪物を倒すために自分が怪物になる覚悟をしなければならないこともある。たくみは言う。オマエに何かを買えとは言っていない、すべて「オレのことだから」。すると、何かのスイッチが入ったかのように、まなぶは語り始めた。

「いやいや、キミの人生はオレの人生だし、オレの人生はキミの人生なんだよ。一緒に歩んでいくの。ね? そいつが、そんなクソみたいなもの買わされて、つけて信じて、名前改名するとか、ふざけんなと思うよ」

 洗脳された人への対応として、これが適切なのかはよくわからない。けれど、自分が怪物になることに慎重になりすぎるあまり、人それぞれだからと何もしなければ、大切なものを取り戻せなくなるときがあるのかもしれない。相方のために、図らずも怪物のようになってしまうまなぶと、相方を怪物のようにさせてしまうたくみ。カミナリの2人の関係に、深い信頼を感じた。

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