チケット転売の舞台となる売買サイトやTwitterはどうなる? チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!
#弁護士 #インタビュー #石徹白未亜 #チケット転売
人の定期を使ってはいけない理由~記名式債券のルールとは~
――ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)の入場チケットは営利目的の有無にかかわらず、すべての転売を禁止しておりキャンセルも認めていません。それに対し、NPO法人消費者支援機構関西が規約改善を申し入れています。
USJの場合、中編(記事はこちらから)で説明頂いた通り、遊戯施設であり今回のチケット転売規制法には該当しませんよね。そうなると、USJが掲げる転売禁止などの規制は、どこまで効力のあるものなのでしょうか。
山岸 そのチケットに名前が書いてある場合、法律上それは「記名式債券」と呼ばれます。
チケットとは、あることができる権利を紙の上にのせたものです。「切符」がそうですよね。130円区間を乗車することができる権利が紙きれに乗っかっているんです。 切符には名前が書いていませんよね。切符を持ってる人は誰でも130円分の区間に乗れます。
一方で、記名式債権は「この書かれた名前の人のみに、うちはサービスを提供します」という債権です。「定期券」がそうですよね。
――確かに、ほかの人の定期券は使えないですよね。
山岸 鉄道会社の定期券は記名者以外は使えないという条件のもと発行しています。同様に、USJがチケットに「入場券・山岸純」と記載している場合、私しか使ってはいけないでしょうね。ただ、私以外の人がそのチケットを使って入ろうとする場合、最終的に入場を拒否するかどうかは施設側の判断になります。
――なるほど。6月に施行されるチケット転売規制法以外に、既存の「記名式債券のルール」もあるんですね。
遊戯施設のようなチケット転売規制法の対象ではないチケットでも、記名されたチケットならば「記名式債券のルール」に基づいて、チケットの名義と入場者が異なると施設側から入場を拒まれる可能性があると。
山岸 はい。あとは施設側の判断によることになります。
最後に、繰り返しになりますが、今回の「チケット転売規制法」は直接的には興行主のために作られた法律になります。高額でしかチケットを入手できず、競合興行先へファンが流れることを防止することが主目的です。
ただ誤解しないでいただきたいのは、広い目で見れば、すべての法律は国民のために作られている、という点です。チケットが高額で出回らないようにすれば、今チケットを高額でしか購入できず困っている人だけでなく、将来あるアイドルのファンになりチケットを購入しようとしたものの、定価で買えず、転売価格が高すぎて購入できない、という人にとっても助けになりますよね。今この時だけではなく、法律の対象は「広くあまねく国民のため」なのです。
(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])
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