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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 時代を駆け抜けたSPEEDの光と影 
平成J-POPプレイバック!

デビュー曲から規格外! 平成という時代を駆け抜けたSPEEDの光と影 

SPEED

平成が終わろうとしている今、90年代に始まったJ-POPの流れがひとつの節目を迎えている。あのアーティストの楽曲はなぜ、ヒットしたのか? 音楽ライターの青木優が徹底分析! 

 昨年末、仕事でとあるジャズ系のクラブを訪れた時のこと。その店に掲示されていたのは島袋寛子のライヴの案内だった。明けて2019年の早々にソロでのライヴをするという告知だったのだ。

 これ以前に今井絵理子や上原多香子が、あまり気持ちのよくない話題でマスコミを騒がせていたのを耳にしていたところだった。だから大人になった島袋を見て、連鎖的にSPEEDのことを思い出してしまったのだ。いつかこの連載であの子たちのことを書かないとな、と思った次第である。

 僕は25年ほどこの仕事をしているが、小学生、どころか、中学生相手にインタビュー取材をしたことすらほとんどない(アイドルの仕事をたくさんしているライターやジャーナリストなら珍しくないかもしれないが)。

 唯一の例外が、SPEEDへの取材だった。それもデビュー直後、2枚目のシングル「STEADY」のリリース時。彼女たちが勢いを一気に増していく頃だった。

 取材の目的は雑誌内のクリスマス向けの企画ページで、4人と話したのはこのシングルが出たのと同じ、1996年の11月だったと思う。都内のスタジオの中にそれこそクリスマスツリーのセットが作られて、彼女たちがそこにたたずんで撮影をするという状況。インタビューの内容としては、それぞれのクリスマスの思い出とか、グループでは何をしたとか、そんなゆるい話だ。

 デビューしたばかりの4人本当に若くて……というか、幼くて、まったくスレてなかった印象が残っている。何しろ無邪気だった。あと、みんな、小さかった。当たり前だが。

 そしてそれは、4人それぞれの個性が見えた時間でもあった。今井絵理子は明るくて社交的で、この中では一番アイドルっぽかった。集合インタビューでは声の判別をつけるために最初にレコーダー(当時はカセットテープ)に向かって名前を言ってもらうのだが、今井の最初の声が小さかったので、僕が「あっ、もう1回!」とお願いしたら、「今井絵理子で~す!」とものすごく明るく、おどけて言ってくれた。キュートだし、グループの中心でやっていく素質がある子だろうなと、すぐに感じた。

 島袋寛子は、明るくはあるのだが、話をしているさまは、とてもナチュラルだった。頑張って笑うようなことはないし、どちらかというとクール。でも前向き。当時この中では唯一の小学生(6年生)だったが、そんなイメージはあまり受けなかったほどで、やや落ち着きも見えた。

 上原多香子は、存在感が薄かった。ほとんど話さないし、主張することもゼロ。僕はその時、「この子、かわいいけど、性格は地味なのかな。もしかしたら暗いほう?」と感じたくらいだった。あとで1ページ分の記事を仕上げたら、彼女は2回ほど、それも短く発言しただけで、大丈夫かな? と思ったくらいだ(雑誌にはそのまま載った)。後年、たいへんな美女へと成長を遂げた時に「一番地味だったあの子だよな?」と驚いたものだ。

 そして新垣仁絵は、島袋とは違う意味でナチュラルというか、かなりマイペースな雰囲気の子だった。話はちゃんとしてくれるけど、これまた頑張って笑顔を作るようなこともほとんどなく、むしろ淡々としている。あんなに踊る子なのに、ふだんは落ち着いてるのか、と思った。

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