竹内結子『QUEEN』6.0%憤死フィニッシュ……視聴者をなめくさった脚本の“最大の欠点”
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なんだかホントにひどいドラマだったなぁと感じます。竹内結子主演の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)、14日に放送された最終回の視聴率は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、全話を通じて2番目に低い数字でした。実に6年ぶりの連ドラ主演となった竹内結子にとっては損しかない作品でしたし、放送中の再婚発表もたいして話題にならなかったね。振り返りましょう。
(前回までのレビューはこちらから)
■最終回も視聴者をなめくさっとる
スピンドクターという情報操作の専門家を描いた珍しいドラマで、挑戦的な作品だったとは思います。で、スピンを扱うからには最終的に政治をやりたかったのもよく理解できる。主人公の氷見さん(竹内)と同僚の与田ちゃん(水川あさみ)が決裂したように見せて、実は共闘していたという展開も、形そのものは悪くない。これまでクライアントのために、その周辺に対して愚弄の限りを尽くしてきた氷見さんが最後に正義を貫くことでカタルシスを与えようとした意図だって、ドラマの最終回にふさわしいものだったと思う。
だけど、これはもう全話にわたっていえることなんですけど、要するにスピンが効いてないんです。卓越した情報操作技術の、その「卓越っぷり」が見どころになるべき作品であるはずなのに、段取りが粗末すぎる。
例えば5年前、氷見さんは人をクルマで轢き殺して逮捕されたことになっていました。でも実は、そのとき死んだ人は歩道橋からの飛び降り自殺で、氷見さんは事故を起こしてなかったという。では、なぜ氷見さんが轢いたことになっていて、新聞報道もされて、逮捕もされたのか。どういうスピンを使って、マスコミや警察をコントロールしたのか。
それをこのドラマは竹内結子の「そう仕向けたの」の一言で片づけてしまう。どう仕向けたかを考える作業を放棄してる。「主人公がそう言ってるから、そうなんだ」で押し通す。
終始、視聴者をなめくさっとるんです。ドラマ序盤は倫理的にヤバすぎる描写が多くて目立っていませんでしたが、スピンドクターを描きたいのにスピンを描いてないのが、このドラマの最大の欠点だったと思います。
■「やったー!」じゃねえよ
それと、これも最初のころからあった違和感なんですが、クライアントや関係者は、基本的に不幸を抱えて登場しています。それをなんとかかんとか解決するわけですが、氷見さんたちは事後、必ず大喜びするんです。今回だって、人がひとり自殺してるのに、自分たちの目的が達成されたらハイタッチして、満面の笑みを浮かべている。
権力が隠蔽してきた人の死の真相を暴いたのは、暴かないよりいいですよ。だけどそれは、そんなに喜ばしいことなの? 何を喜んでいるの? 悲しいことがあって、許せないことがあって、それを正す仕事を完遂したのはわかるけど、それはママさんバレーの試合でスパイクを決めたときみたいに、ハイタッチして喜び合うようなことなの? ご遺族はどう思うの?
そういう倫理観の欠如、人の気持ちのわからなさ、思いやりのなさ、第1話からずっと感じていた不快感の正体は、そういうところだったと、最終回を見て改めて思いました。
■また倉光さんが消えた
フジテレビが、どれだけ結果を出せなくても積極的に起用し続けている脚本家・倉光泰子さん。今回も放送当初はメーンとしてアナウンスされていましたが、6話以降は三浦駿斗さんになっていました。第8話では三浦さんと倉光さんの連名でしたが、実質途中降板の形です。
フジは、倉光さんをどうしたいんだろうと思うんです。『ラヴソング』の1~3話や、『刑事ゆがみ』を見るに、とっても有能な人だと思うんだけど、ものすごく雑に扱われている感じがする。また何か書くなら見たいという気持ちはあるんですが、なんかもう、なんかもうね。見てらんないですよ。
というわけで、この原稿限りで『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』についてもう一生涯、二度と考えなくていいという解放感とともに筆を置きたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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